「ヘッジファンド」とは、様々な運用手法を駆使して、相場の上げ下げに関係なく「絶対リターン」を追求するファンドのことです。おもに機関投資家が投資対象にしていますが、個人でもヘッジファンドに投資できる方法はあるのでしょうか? 見ていきましょう。※本連載は、GCIアセット・マネジメント代表取締役CEOの山内英貴氏の著書『オルタナティブ投資入門―ヘッジファンドのすべて』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

ヘッジファンド投資の重要な情報源は「人」

ポートフォリオ組成の第一歩は、ヘッジファンドのデータベースを構築または取得することである。最近では、一般からもアクセスできる有料無料のヘッジファンド・データベースがでてきた。しかし、そのような一般的情報からの絞込みは、膨大な手間と労力がかかる作業であり、実務的ではない。

 

そこで、多くの投資家やFOFマネジャーが重用するのは、人的ネットワークである。マネジャーの世界は存外に狭い。

 

最近は、運用戦略の専門化が進んだ結果、マネジャーの属する業界で主要なプレイヤー同士はある程度何らかの知遇を得ている場合が多い。これは、わが国でも各業界の主要マーケット・プレイヤー達の知名度が上がり、業界内での評判が確立していることを思い起こせば納得できるだろう。

 

そして、大手金融機関等でこれら主要プレイヤーが育てたジュニアが成長し、独立する際にも、メジャー・プレイヤー間では間接的にその評価が伝播する。こうして、人的ネットワークは、海外においても最も重要な情報ソースとなっている。

ヘッジファンド投資は、マネジャーの「人材」への投資

ヘッジファンドには多様な投資戦略があるが、究極的にはモデルやシステムを構築して運用するのはマネジャーであり、洗練されたツールをいかに構築するか、利用するかという判断自体はマネジャーに帰着する。同じ投資モデルを利用しても、異なる人間が運用すれば運用成果も異なる。

 

こうした面からも、ヘッジファンド投資は究極的には人材への投資、スキル(技術)や経験を有するタレント(人材)への投資だと考えるべきである。

 

それはつまり、成功報酬制度とより柔軟な運用環境に動機付けされた、有能な人材(運用チーム)に、資産運用をアウトソースすることに他ならない。エッジの効いたヘッジファンドであればあるほど属人的であり、その分キーマン・リスクも大きい。

 

自らがプロである機関投資家にとっては、そう簡単にはコピーできない専門的な運用戦略を、一定のコスト(運用報酬など)の下に自らのポートフォリオに組み入れる機会が広がったと考えるべきではないだろうか。

 

アセットクラスとしてのヘッジファンドは、債券や株式と異なり、投資対象資産そのものや投資戦略それ自体から一定のリターンを受動的に期待できるものではない。運用資産規模が急拡大した現在ではなおさらである。

 

山内 英貴

株式会社GCIアセット・マネジメント 代表取締役CEO

 

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山内 英貴

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