
「ヘッジファンド」とは、様々な運用手法を駆使して下落相場でもプラスの収益を目指すファンドのことです。国内籍と外国籍がありますが、日本から直接、外国籍のものに投資することは困難です。では、国内の機関投資家はどのように海外ヘッジファンドに投資をしているのか、そのスキームを解説します。※本連載は、GCIアセット・マネジメント代表取締役CEOの山内英貴氏の著書『オルタナティブ投資入門―ヘッジファンドのすべて』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。
投資一任型運用スキーム…海外ヘッジファンド投資向き
日本の年金基金のヘッジファンド投資は、投資運用業者と投資一任契約を締結し、投資運用業者の投資判断に基づいて、信託銀行に開設した特定金銭信託口座からオフショア籍のファンドに投資を行う形態が一般的である。
この場合、購入契約におけるファンドの名義人は信託銀行となるため、アドミニストレーターからの時価報告や監査法人からの監査報告書は名義人たる信託銀行に対して直接送付される。
AIJ事件のケースでは、信託銀行がAIJ関連証券会社の保護預りで購入したため、ファンドの名義人がこの証券会社となり、アドミニストレーターからの時価報告や監査報告書が直接信託銀行に送付されず、結果的に粉飾を許した。
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日本国内の投資家向けに募集を行うためには、金融商品取引法に基づく日本における募集資格を有する者が販売会社となって、外国籍私募投資信託としての金融庁に登録を行う義務がある。日本で募集活動が行われるヘッジファンドの大部分が、この形態をとっている。
――日本で登録する契約型外国籍私募投信の場合の必要書類例
●信託証書(トラスト・ディード):オフショア・ファンドの設定地においてトラスティーが宣言・登録した文書であり、当該ファンドの概略、またアンブレラ・ファンド型やマスター・フィーダー型など複次的構成の場合にはその大枠、特に母体ファンドの概要について解説したものである。金融庁等への届出には必ず添付が必要である。原則として逐語訳を作成する。
●目論見書(オファリング・メモランダム):当該ファンドについて、戦略、関係者の位置付け、フィーの配分、諸費用、償還や配当をはじめ諸条件につき詳しく規定している。原則として抄訳を作成する。
●ディストリビューション(販売)契約:トラスティーと募集販売会社(ディストリビューター)間で、当該ファンドに関する投資家への勧誘募集活動につき規定している。
●投資顧問契約:ファンドの運用権者と助言者または運用者の間で、ファンドへの助言活動・運用活動に関し規定している。
●アドミニストレーション契約:ファンドの運用権者とアドミニストレーターの間で、ファンドの管理業務に関し規定している。
●カストディアン契約:ファンドの運用権者とカストディアンの間で、ファンドの管理業務に関し規定している。
山内 英貴
株式会社GCIアセット・マネジメント 代表取締役CEO
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