超富裕層の資産を専属管理する「ファミリー・オフィス」の実態

「ヘッジファンド」とは、様々な運用手法を駆使して相場の下落局面でもプラスの収益を目指すファンドのことです。今回は、ヘッジファンドを利用している投資家について見ていきます。※本連載は、GCIアセット・マネジメント代表取締役CEOの山内英貴氏の著書『オルタナティブ投資入門―ヘッジファンドのすべて』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本ではなじみが薄い「ファミリー・オフィス」とは?

ヘッジファンドは1990年代まで、海外の富裕個人投資家を中心に利用され、発展してきた。しかし、最近になって、機関投資家や金融機関、政府系機関等の利用も拡大している。

 

本記事では、海外におけるヘッジファンドへの主たる投資家の顔ぶれを紹介する。

 

ヘッジファンドの投資主体は?(画像はイメージです/PIXTA)
ヘッジファンドの投資主体は?(画像はイメージです/PIXTA)

 

日本ではまだなじみの薄いファミリー・オフィスとは、数十億円を超す金融資産を持つ超富裕層が、専属のファンド・マネジャー、弁護士、会計士、税理士等を雇用して、一族の資産管理などを行う会社である。

 

歴史ある名家や起業に成功した創業者一族(ファミリー)が、株式を公開・売却して得た莫大な資金等を元手に、税金対策も考えながら効率的運用を行う専属オフィスだ。

 

米国では80年代以降のハイテクブームで成功した起業家が続出し、ファミリー・オフィスを設立することがブーム化した。

 

多くの専門家を雇うことにはコストがかかるが、有名な長者番付フォーブズ上位500の50%以上が、親からの相続を受けたのではなく、自分で裸一貫から財を成した人物たちといわれており、このようなニーズは根強いものがあるという。

 

ファミリー・オフィスには、それぞれのファミリーの目的や構成によって多様な形態が存在する。複数のヘッジファンドに資金配分して運用委託することのみを行っているところから、積極的に社内に運用者を雇用して自己運用するファミリー・オフィスまである。

 

また、運用も、ヘッジファンドに限らず、プライベート・エクイティ、実物投資から投資銀行的業務(企業買収・再建等)まで手がけるものもあり、多種多様であるといえよう。

 

市場変動による影響を極力排して、低リスクで安定的な絶対リターンを常に狙う点が共通の特色であり、伝統的なヘッジファンドの運用スタイルに相通じるところである。

 

しかも、高い運用成果ではなく、資産の実質的価値を長期間にわたって保全すること、税効果を勘案した税引後リターンの極大化を目指す点にも特徴がある。資産保全(Capital Preservation)が最重視される運用スタイルである。

 

ファミリー・オフィスには、運用業務の実務経験者が、運用成果に基づく魅力的な報酬制度でスカウトされているケースが多い。

 

また、意思決定も機関投資家と違って機動的に行えるために、すばらしい運用成果を持続し、多額の成功報酬を得たマネジャーが自分自身のファミリー・オフィスを設立して独立するケースも少なくない。

 

しかし、小規模組織での資産運用には限界がある。そのため、あるリサーチによれば、著名なファミリー・オフィスの大半が外部の投資顧問会社を利用しており、さらにその約半数がそれら投資顧問会社を監視するための外部コンサルタントを利用している。

 

運用委託している投資顧問会社の50%超がヘッジファンドであり、資産保全という観点から、伝統的運用スタイルよりもオルタナティブ投資をいかに重視しているかがうかがえる。

 

一方、運用ノウハウとトラックレコード(運用成績)を身に着けたファミリー・オフィスが、外部の投資家からの資金を受け入れて、ファンド・オブ・ファンズとして合同運用を行うケースもある。

 

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株式会社GCIアセット・マネジメント 代表取締役CEO

日本興業銀行でトレーディング、デリバティブ関連業務に従事した後、2000年4月に独立し、オルタナティブ投資とグローバル投資を専門的に取り扱う資産運用会社グローバル・サイバー・インベストメント(現GCIアセット・マネジメント)設立。2007年4月より東京大学経済学部非常勤講師。東京大学経済学部卒。

著者紹介

連載投資のプロが解説!「オルタナティブ投資」の基礎知識

オルタナティブ投資入門―ヘッジファンドのすべて

オルタナティブ投資入門―ヘッジファンドのすべて

山内 英貴

東洋経済新報社

リーマンショック後も拡大し続ける最強の金融技術と投資戦略のなか、ヘッジファンドを中心としたオルタナティブ投資をめぐる環境は激変。 投資の基本から最新の知識、最先端の投資テクニックまでを解説した、役に立つ一冊!

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