新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、窮地に立たされている中小企業。そこで注目されているのが、3月に公募開始のアナウンスがされている「事業再構築補助金」です。企業再生のスペシャリストである坂本利秋氏は、100万円から150万円程度の比較的少額の補助金を狙う経営者には、申請に対して越えなければならないハードルがあると言います。今回は、少額の事業再構築補助金の申請を予定している中小企業に焦点をあてて説明していきます。

100万円の補助金を狙う零細企業…2つの選択肢

それでは100万円の補助金を狙う零細企業は、申請をあきらめるしかないのでしょうか。

 

いいえ、チャンスはあります。

 

■よろず支援拠点

 

聞きなじみのない名称かもしれません。HPより概要説明を抜粋しました。

 

中小企業、小規模事業者の皆様にとって、経営上の悩みはつきもの。 その悩みは、売上げを伸ばしたいというものから商品開発、後継者がいないという悩みまで多岐にわたります。 「よろず支援拠点」は中小企業、小規模事業者の皆様からの、経営上のあらゆるご相談にお応えするために、国が全国に設置した無料の経営相談所です。

 

小規模事業者の経営上のあらゆる相談に応えるために、国が全国に設置した無料の経営相談所です。いかがですか、あらゆる相談に無料で乗ってくれるのです。先の支援機関は申請案を作成し、経営者に確認してもらいながら進めていくスタイルですが、よろず支援拠点は経営者が申請案を作成し、支援拠点に確認してもらいながら進めていくことが想定されます。経営者の負担は増えますが、見方を変えれば、経営者自身が真剣に事業再構築を検討し資料に落とし込む作業は決して無駄ではありません。

 

よろず支援拠点には、多様な分野に精通した専門家が在籍。 経営上の悩みに親身に耳を傾け、抱えている悩みの本質的な課題を明確化するとともに、適切な解決策をご提案します。 さらに、解決策の提示にとどまらず成果が出るまで、寄り添うようにフォローアップ。 課題の大小を問わず何度でも無料で相談できる、中小企業の経営者を「一人にしない」相談所です。

 

多様な専門家が在籍し、経営上の悩みに親身に耳を傾け、本質的な問題を明確化し、何度でも無料で相談できる。とあります。前回の支援機関の選び方で示したポイントをきっちり抑えています。

 

専門家はコーディネーターと呼ばれています。筆者は個人的に知っている人はいませんが、HPを見ると中小企業診断士を始めとする士業の人や、各方面の実務にも精通した専門家が在籍しています。本来であれば、有料でしか相談できない人に無料で相談できるのはメリットしかありません。相談予約の混み具合は分かりませんが、早めに相談することをおすすめします。

 

■持続化補助金(低感染症リスク型ビジネス枠)

 

事業再構築補助金と同じく、第3次補正予算で承認された補助金です。100万円程度の再構築補助金を考えている人は、この補助金も比較検討すべきです。以下は、経産省作成のパンフレット内に記載された同補助金の説明文です。

 

小規模事業者等が経営計画を作成して取り組む、社会経済の変化を踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組を支援し、その取組に資する感染防止対策への投資についても、一部支援。

 

「小規模事業者が新たなビジネスやサービスの取り組みを支援」は事業再構築補助金と大きな相違はありません。「感染防止対策への投資についても一部支援」は事業再構築補助金では見られない条件です。

 

この補助金の最大補助額は100万円、補助率は3/4です。再構築補助金100万円を狙っている企業にとっては補助が同額で、補助率はむしろ持続化補助金の方が有利です。

 

申請書作成の負担でも大きなメリットがあります。持続化補助金の申請書類が、従来の小規模事業者持続化補助金と同程度と仮定すると、再構築補助金の数分の1の労力でしょう。

 

採択率も、小規模事業者持続化補助金の例では第1次、2次募集では80%程度と高確率でした。ただし第4次では30%台と半分以下に下がっていますから、可能な限り早く申請するという補助金申請の鉄則はお忘れなく。

 

対象となる経費項目の詳細は要綱の公表を待つ必要がありますが、オンライン化のためのツール・システムの導入、ECサイト構築などがパンフレットに記載されています。この程度の開示では判断に困ります。公表を待ちましょう。

 

なお、通常枠は50万円ですが、低感染リスクへ対応を行うことで、枠は100万円へ拡大します。この補助金の対象となる条件は、売上高基準などもありますが、ここでは割愛いたします。興味ある人は持続化補助金(低感染症リスク型ビジネス枠)で調べてください。

 

経営者の皆さん、正しい情報を早く収集し、正しく早く行動し、この危機を乗り越えましょう。

 

 

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