日本経済の行方、米国株式市場、新NISA、オルタナティブ投資…
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日本の「売出債」市場の各種データからわかることは?
mtn-i社では売出債*といわれる証券会社から幅広く個人投資家に販売される債券のデータを収集しており、2015年から2020年の6年間のデータを使用する。
*最低10万円程度で買える商品も多い
発行金額および発行件数
[図表1]の通りに推移しており、年間で平均的に約2.9兆円発行され、約1,300件取引されており、1件あたりの平均発行金額は20億円程度となっている。
売出債市場の発行金額は、後述するように株価に連動するものが多く、そのなかでも個別株式より株価指数に連動するものが多いが、2018年以降は株価指数のボラティリティ(価格の変動率)が低下傾向であり、金利も低位で推移したため発行金額の低下傾向が続いた。
また、新興国通貨安、円高傾向であったことも低下に寄与した。2020年はコロナ相場で後半は盛り返したものの、前半の低調な影響を受け一段と減少した。2021年は緊急事態宣言からスタートをしているが、通期では2020年を上回ることを予想している。
発行通貨
[図表2]の通り、自国通貨である日本円で67%、米ドルで10%、豪ドルで8%と上位3通貨で全体の8割を超える。
経済規模で言うと大きなユーロや中国元の発行が見られないのに対して(中国元は流動性/規制の問題もある)トルコリラ・ブラジルレアル等、金利が高い(ないしは高かった)国の通貨が相応の発行量を確保している。また、このような高金利通貨は、多くのケースでデリバティブを伴なわないバニラ債で利用されている。
商品性
仕組債とバニラ債の割合は約7割対3割で、仕組み債のほうが圧倒的に多い[図表3]。
仕組債のなかでは、指数を含む株式が全体の約8割を占めており、その次は為替連動が2割弱となっている[図表4]。
平均年限(期間)と推定残高
売出債の発行額を加味した平均年限は3.72年。推定残高は年間の平均発行金額2.9兆円に平均年限を乗じた、約11兆円と言いたいとこではあるが、実際は仕組債の多くに早期償還条項がついていて1年以内に早期償還され、早期償還されたお金が仕組債の再投資に回るケースも多いため、売出債に関しては業界関係者の意見を参考にすると平均発行金額の1.5から2倍程度が推定残高と考えられる。
私募や私売出における市場規模
売出債と異なりオーダーメイド型で商品を組成する私募や私売出と呼ばれる、1件の発行あたりの勧誘上限が49顧客に制限される債券マーケットも存在し、1投資家の平均投資金額が1,000万円を超える。
個人向けには主にEB債と呼ばれる個別株式(または株価指数)に連動する仕組債が活発に約定されている。近年では日本株のみならず、主に米国株を中心とした外国株式に連動する仕組債のボリュームが増えている。
新規発行件数は、日本証券業協会の集計結果を加工することにより推定可能で、直近では月間新規発行件数が3,000件を超えており増加傾向にあるが、要因として、①コロナ初期の大幅な下げを記録して以降、おおむね堅調な株価、②テクノロジーの進展で、より小額発行も容易となってきたこと、③IFA(金融商品仲介業者)という新しいチャネルを通じた販売の伸び、などが考えられる。
年間取引量は、業界関係者の意見などを総合的に判断すると個人向けには売出債とは別途年間3~4兆円程度のEB債が発行されており、バニラ債等の早期償還条項が付与されていない商品はあまり個人向けに私募の形式では発行されていないことから、年間発行金額より小さい残高を有していると考えている。
つまり、仕組債中心の海外で発行される個人向け債券の年間発行金額は6~7兆円、残高は6.5~8.5兆円程度と推定され、そのなかでも大半が個別株式、株価指数に連動する商品となっている。
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