家族や兄妹を引き裂く相続のトラブル。相続トラブルは「権利」をクリアにしておくと防げることがあります。株式会社ソリッド代表取締役社長の成田仁氏と税理士の富田隆史氏が、権利関係が更新されていなかったのでトラブルになった事例から、原因と争族を防ぐ方法を紹介します。

法人化することで相続を「ビジネス」として捉える

「相続トラブル」を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。遺産分割などでトラブルになるポイントは大きく分けると、次の2点です。

 

①相続物件が不動産で分割が困難である

②遺言書がなく相続人の取り分が不明瞭である

 

相続物件が不動産であるようなケースでは、何もしなければ結局は相続税納税のために、あるいは遺産分割のためにその土地を手放さなければならないことになりかねません。そこでおすすめしているのが「法人」を設立して、その相続物件を会社に移転させ、土地の有効活用を不動産ビジネスという観点から考えられるようにすることです。

 

土地の有効活用は、純粋にビジネスとして考えれば、先祖代々の土地を売却して、その資金をベースに都心の土地や収益不動産を購入するという選択肢が出てきます。むろん、現在の土地にそのままアパートやマンションを建設する、といった発想もあります。

 

大切なことは、会社組織にしてしまうことで、純粋に収益を上げていくビジネスとして捉えることができるので、ビジネスならどの選択をするかを冷静にジャッジしていくことです。さらに、相続税の節税にもつながるというメリットもあります。

法人化する過程で「生前贈与」も実施可能

また、相続対策のために法人を設立するということは、相続の対象となる物件を法人名義に移していくのが一般的で、例えば父親名義の土地を法人に譲渡して父親に現金を支払えば、その段階で実質的な”生前贈与”が完成することを意味しています。

 

この方法を使えば会社を設立していく段階で、相続人の取り分が明確になることになります。したがって、そもそも相続でもめることが少なくなるわけです。また、生前贈与の部分が多くなるために、被相続人の意思もストレートに反映しやすいというメリットもあります。

 

遺産分割のプロセスが不透明でトラブルになるケースも見られましたが、この方法であれば透明性が高く、トラブルになるようなケースは考えにくいところです。とりわけ、現金の形で相続財産を残すことが可能なので、複数の相続人に分割するのも簡単ですし、生前に節税枠を使って生前贈与していくなど、現金にした後の処理も簡単といえます。

 

会社を設立する際には、相続人全員の了解を取っておく必要がありますから、その時点で各自に納得してもらいつつ、会社設立、物件譲渡、新規物件の購入、アパート・マンション建設といったプロセスを進めていくことができます。そういう意味でもトラブルは少なくて済みそうです。

 

相続に関わるトラブル回避や相続税節税のためには、法人の設立による対策が効果的であることを紹介してきましたが、実際に相続が発生するときまでにやっておかなければならないこと、あるいはしておきたいこと、そして相続が始まってからできることなどがあります。

 

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相続税は不動産投資と法人化で減らす

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成田 仁,富田 隆史

幻冬舎メディアコンサルティング

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