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市場が織り込むもの・織り込めないもの2:「変化」
もう一つ市場が織り込むのを苦手にしている概念として「変化」があげられます。「時薬(ときぐすり)」という言葉があります。「時」が様々な変化や成長を促します。市場効率仮説が苦手にしているのはこのような「ときぐすり」の効果です。
経済や企業活動のときぐすりは往々にして目に見えないもの、数値化できないものから生まれます。例えば「コミットメント」、「創造性」、などです。不動産業や金融業ではブランドを持つ有名全国プレーヤーが何社も存在しますが、往々にして特定の地域では地場のローカル企業が大きな強みを発揮します。地域でのコミットメントが違うのです。
ウォーレン・バフェットが良い経営陣に率いられた良いビジネスにずっと投資する、というのはこの見えないものが生み出す将来の「変化」を重視しているわけです。いわれてみれば簡単そうです。しかしウォーレン・バフェットが一人だけ資産を大きく増やしたのに他の市場参加者がそこまで儲けていないのは示唆に富みます。
一つの理由は、目に見えるものではなく総体としての市場参加者にとっては評価が難しい事柄だからでしょう。皆さんの身のまわりにも、あの会社がいつの間にかこんなに大きくなるなんて、あの人があんなに出世するなんて、あの選手があんなに活躍するようになるなんて、という例が一つ二つはあると思います。
表面的には見えずらいコミットメントや創造性などが生み出す「ときぐすり」のパワーです。コミットメントや創造性のパワーは苦境のときに大きな効果を発揮します。コロナで苦境に陥っている業界程、ミクロで起きている変化に注目すると必要以上に株価が売り込まれていると考えられる企業が発見できるはずです。ある種のミスプライス、投資機会です。
また、もう一つ、目に見えない「変化」の例として、任天堂の斬新な家庭用ゲーム機Wiiが挙げられます。未知のものが出てくる局面では情報が少ないので、市場が効率的に情報を処理することができなくなるのです。Wiiが出たときは2年間で株価は7倍になりましたが、この斬新なゲーム機が流行るのは明らかにわかっても、どのくらい普及するかは誰にも想像できませんでした。
理論上は「噂を買って事実を売る」ではありませんが、効率的な市場においては、製品が姿を現した発売日当日にすべての将来の売り上げを株価は織り込んでいないといけません。いのインパクトを各企業にもたらすのか、期待と想像をベースにするしかありませんでした。
最近の典型的な例はテスラモーターズの株価動向でしょうか。こうした市場が処理を苦手とするタイプの局面では間違いなく、株式の評価の際の重要な情報源として「株価」そのものが登場します。株価動向を見ながら株式の評価を考えるしかなくなるわけです。
主要な情報の一つが株価動向の場合、上がるから買う、買って上がったのを見て自分の仮説が正しいのを確認する、という循環に入ります。
すでにEVやテスラモーターズの株価動向で明らかになりつつあるように、5G、環境、デジタルに関連する「新しい技術」と「100年に一度」の変化が結びつきながら、不連続性に象徴される「効率的市場仮説が苦手とする」状況が強まり始めているようです。こちらは特定の銘柄に過大評価を生み出している可能性もあります。別の意味でのミスプライスです。
昨年から今年にかけての市場環境は非常に興味深い、示唆にあふれた市場環境であったといえます。「時間軸」が短くなったり長くなったり、大きな「変化」が登場する中で何をどこまで織り込んだらよいかについて困惑したり、教科書で勉強する効率的市場仮説が扱いに困るような現象が短期間に多く発生しました。なぜそうなるのか、ということを考えるうえでの、市場を見るうえでの、一つの参考になれば幸いです。
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国府田 茂佳
FOUR SEASONS ASIA INVESTMENT Pte. Ltd. CEO
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