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バブル崩壊後の経済で見る「市場のメカニズム」
「経済のサイクル」というテーマに関しては、日本のバブルとその崩壊を目の当たりにした世代の方々は身に染みて体験していることでしょう。
通常の景気サイクルは企業や人々が好景気に乗って過剰投資を行うことに派生します。
過剰投資は過剰な融資・ファイナンスによってサポートされます。景気サイクルの上昇過程では過剰投資と過大なレバレッジは双子のようにセットで登場するわけです。基本にあるのは、「もっと儲けたい」という人間・企業の欲望です。そこに「バスに乗り遅れたらまずい(機会を逃してはいけない)」という横並びの発想が添加剤として働きます。結果として多くの企業や人々が実需を超えた設備投資や投機的な投資を行います。
そうした投資を支援するに十分な借り入れも比較的容易に調達できる環境も存在します。そしてあるポイントで供給能力が需要を大きく上回っている、投資価格が期待できるリターンに見合わないほど高くなっている、などの状況に人々が気づいたときにブームは終わります。投資が引いていくわけです。
往々にしてそうした状況下で金融機関も融資を絞ります。貸し出しの回収リスクを抑制する必要があるからです。昨日までできた融資はもうできない、さらに頭金・担保が必要だ、という状況になります。ブームの逆流、いわゆるバースト(破裂)という状況です。
この場合、過剰な借り入れが厄介です。実態が想定したように盛り上がらなくなってきたにも関わらず大きな借金が残るわけです。1000台の液晶テレビを1台10万円で売れると算段して設備投資したのに業界の供給過剰で1台5万円になってしまっていたら、収入が当初の想定から半分になるわけですが、債務は変わりません。完済までついて回る、長くつらい道のりです。
この状況が一個人、一企業だけに収まらずに社会全体に広がっている状況は厄介です。金融機関が減免の措置などを取らない限り、あるいは政府がその穴埋めをしない限り、社会全体の過剰な借り入れや過剰な供給能力が調整されるのには長い時間がかかる、というのはまさに日本が体験したことです。需要が追い付いてくるのを待つか、投資そのものを廃棄などを通じてなかったことにするしかありません。
半導体などのテクノロジー業界では頻繁に起こるサイクルです。一個人、一企業ができることが限られている、価格調整や撤退などを促して市場のメカニズムが解決する、という意味ではある種自然現象に近い過程といえましょう。
日本でよく報道される「バブル崩壊後の失われた20年」といった表現はまさにこうしたバブル崩壊後の経済の調整過程としての長い道のりを指し示したものです。
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