人任せは厳禁、オーナーも「契約書の熟読」で自衛を
「サブリース契約をすれば家賃が保証される」という甘い言葉で投資初心者を誘い、高額な新築マンションを購入させる行為は、グレーとの認識はされていたものの、違法ではありませんでした。なぜなら、この契約行為は宅地建物取引業法外で、取り締まる法律がなかったためです。
新築ワンルームマンション分譲を行う不動産業者の多くが自らサブリース契約し、不動産投資の初心者を勧誘しているのは事実です。しかし、「おひとりさま」世帯の増加により賃貸ワンルーム需要が高まるなか、法律で強制的に新築ワンルームの開発・分譲を抑制することには無理があります。
そこで、販売方法として乱用されているサブリース契約を取り締まればいいのではないかという発想から、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、賃貸住宅管理適正化法)」が制定されました。下記に主なポイントについて説明しましょう。
●「賃貸住宅管理業者」登録制度の創設
不動産取引を行う業者については国や都道府県に「宅建業者」の登録を行うことが義務付けられています。しかし、不動産の管理業務についての登録は任意でした。そこで今回の法施行では、管理物件の戸数が200戸を超える不動産業者に対し「賃貸住宅管理業者」の登録を義務付けることにしたのです。登録の条件としては、「実務経験6年以上の業務管理者を選任する」「保有財産を分別管理する」「オーナーに対し管理状況の定期報告を行う」などです。
●契約者(オーナー)に対する重要事項説明の徹底
これまでのトラブルの原因のほとんどは、不動産業者がオーナーに対してサブリース契約の詳細内容を説明しなかったことにあります。いいことばかりを大げさに誇張するのではなく、家賃の定期的な見直しがあることや家賃保証期間の期限などのデメリット面もしっかり説明することが義務付けられました。この重要事項説明は、賃貸住宅管理業者の登録時に選任された業務管理者が行うものとしています。
問題のあるサブリース業者も確かに存在しますが、オーナー自身も契約前に書類をじっくり読んでいれば回避できたトラブルがあるのもまた事実です。事前に交付された契約書類を熟読する時間があり、その内容に納得して署名・押印した場合、救済されないケースがあるということも、あわせて心得ておきましょう。
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