パターン2 老眼+近視の人の見え方と進行過程
近視の人は一般的に、老眼になったと気づくのが遅くなりがちです。
近視でずっとメガネをかけてきた人の場合、老眼になると「メガネをはずせば、以前よりも近くが見やすくなった」というケースが多いものです。コンタクトレンズなら「裸眼でいると、近くが見やすくなった」と感じます。
これこそ実は老眼の症状なのですが、しばらくは老眼と気づかないため、「近視だから老眼になりにくかった」と誤解してしまうわけです。
そのせいで「近視の目は老眼になりにくい」という話がまことしやかに流れるのです。昔から巷間に伝わりやすい誤った情報です。
眼科医としては困ったことだと思いますが、それを信じたい、できればそうであってほしいと考える気持ちも分かるのです。「老眼」という名称には字面だけでなく、いかにも「老化現象だ」といっているような響きがあるのではないでしょうか。そのため最近では、老眼鏡のことを「リーディンググラス」「手元専用メガネ」とも呼ぶようにもなりました。
近くが裸眼で見やすくなった人も、老眼が進むにつれ、メガネをしてもしなくても近くが見えにくくなります。進行の程度により、「よく見える距離」と「よく見えてほしい距離」の間にずれが生じてくるからです。
例えば、裸眼で30cmの距離がよく見えれば読書やスマートフォンを使うとき便利ですが、10cmでは見るものをかなり近づけなければなりません。近視の人が老眼初期に「裸眼で近くが見えるようになった」と言うのは、「たまたま見えやすい距離と見たいものの位置が、ぴったり一致した時期」と考えてください。
近視でメガネを使っている人の老眼が進行したときは、普段は今までどおり遠方がよく見えるメガネを使います。そして弱い近視用のレンズを使ったメガネも作り、老眼用として近くを見るために使用する必要が生じてきます。
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