元国税専門官が忠告…同居家族への「報酬」が要注意なワケ

「毎年確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年1月頃になるとこのような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

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仕事が発生、「家族に」「第三者に」どっちが得?

正解:同居家族への報酬の支払いは、必要経費にならない

 

こちらは「給料」ではなく、「報酬」を支払うというパターンです。

 

給料は雇用関係を前提とした支払いであるのに対し、報酬は雇用関係がないなかで、仕事などを依頼した際に支払うものです。わかりやすくいうと、「週に3日事務所で働いてほしい」が給料だとしたら、「ホームページをつくってほしい」「ロゴを考えてほしい」といった単発的な仕事が報酬というイメージです。

 

このような報酬を支払う場合にも、「家族にお願いするか」「第三者に外注するか」によって税金の扱いが変わってきます。

 

報酬を支払う場合、「家族にお願いするか」「第三者に外注するか」によって税金の扱いが変わってくるという。(※写真はイメージです/PIXTA)
報酬を支払う場合、「家族にお願いするか」「第三者に外注するか」によって税金の扱いが変わってくるという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

まず、第三者に外注する場合、その費用は問題なく必要経費にすることができます。もちろん、事業に関係のある外注であることが前提ですが、たとえばホームページを100万円でつくってもらったのであれば、広告宣伝費などとして100万円を計上することができます。

 

ところが、同居の家族に報酬を支払う場合、専門用語を使えば「事業主と生計を一にする配偶者やその他の親族が対価の支払いを受ける」ということになると、基本的には必要経費に算入できません。

 

たとえば、わたしがフリーライターで、妻が税理士だったとしましょう。このとき、税理士報酬を妻に払っても、その金額は必要経費にはできないのです。個人で事業をやっていると、親しい家族のほうが仕事を頼みやすいと思いますが、いったん立ち止まってこの問題を考えるようにしてください。

 

先に説明したとおり、家族に報酬を支払うときに必要経費にできるかどうかは、「生計を一にしているか」という点から判断されます。この判断は、じつは税務署と納税者のあいだで解釈が分かれ、裁判になることもあります。

 

たとえば、「家計の負担を分けているから生計は別だ」と主張する納税者に対して、「家計費を一定の割合で分けている時点で生計を一にしているといえる」といった主張を国がおこない、国が勝訴した判決もありました。

 

このようなケースを見ると、同居している家族に対して報酬を支払うことは、基本的には避けたほうがいいということになります。

 

なお、生計を別にしている親族であれば、報酬を支払って必要経費にして差し支えありません。ただしこの場合、受け取った側がその金額に応じて課税されることを頭に入れておきましょう。

 

本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2021年2月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。

 

 

小林 義崇
フリーライター 元国税専門官

 

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フリーライター

1981年、福岡県生まれ。西南学院大学商学部卒業。2004年に東京国税局の国税専門官として採用され、以後、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。2017年7月、東京国税局を辞職し、フリーライターに転身。書籍や雑誌、Webメディアを中心とする精力的な執筆活動に加え、お金に関するセミナーも行っている

著者紹介

連載「得なのはどっち?」難しい確定申告を分かりやすく解説

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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