
「毎年確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年1月頃になるとこのような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。
「家族を雇う」「パートを雇う」どっちが正解?
正解:実質的に生活費を必要経費にできるので、家族を雇うべき
青色申告の特典として「青色事業専従者給与」について説明しました。個人事業者が支払う給与のうち、家族に支払うものは、青色申告にすれば全額必要経費にできるというルールです。
私がパートよりも家族を雇ったほうがいいと考えるのは、「実質的には生活費を必要経費にできる」という点にあります。
パートに支払った給料は、当然ながら自分の生活とは関わりがありません。給料を100万円渡せば、手元から100万円がなくなるだけです。

しかし、家族に給料を支払えば、その給料を家族の生活費として使うことができます。もちろん、働いた人の収入なので、その人が使いみちを決めるべきですが、生活費に使うという選択もできるということです。この違いはひじょうに大きいと思います。
ただし、青色事業専従者給与については、いくつか注意点があり、この注意点を把握しておかないと、やはり税務署から指摘を受ける可能性があります。
まずは「給料の金額設定」の問題です。この点について具体的な基準はありません。基本的には支払った給料の全額を必要経費にできますが、その金額が「過大」と判断されると、その過大な部分は必要経費から除かれてしまいます。
つまり、必要経費を増やしたいからといって、極端に家族への給料を上げすぎてしまうわけにはいかないのです。
ちなみに私の場合、妻を青色事業専従者にしていましたが、給料は月額8万3000円にしていました。これは見込まれる作業時間に時給を掛けて設定したものです。この金額であれば、妻自身の税金や社会保険料が増えることもありません。
もうひとつのポイントが、「もっぱら事業に従事しているのか」という点です。「もっぱら」という言葉自体、いまはあまり聞くことはありませんが、「他のことに関わらず、そのことに集中する」といった意味があります。青色事業専従者は、本業として個人事業に携わっていないといけません。
とはいえ、他で仕事をしているとまったくダメかというとそうではなく、パートくらいであれば問題ありません。たとえば、平日は個人事業の手伝いをして、土日はパートをしているような場合は大丈夫でしょう。
本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2020年12月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。
小林 義崇
フリーライター 元国税専門官
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