年を取り、体に多くの不安がある人が多くなってきている現在、子供の家族と暮らせれば少し安心できるのではないでしょうか。そこで今回、税理士の斎藤英一氏が2世帯住宅を作るにあたっての不安点や問題点などを事例を通して学びます。

売却か、賃貸か…Cさんの決断は?

以上の点を検討したうえで、Cさんは売却を決めました。3000万円で購入したマンションを2000万円で売却したので、1000万円の売却損が発生しています。この売却損は、前述のように一定の要件を満たせばCさんの他の所得と損益通算することもできます。また、通算しても損失が残る場合は、最大3年間繰り越すことが可能です。

 

最終的に、Cさんは売価した金額で、残っていた1500万円のローンを返済しました。この場合、居住用不動産の買い替えを行わない場合の損益通算は、

 

1.譲渡損失1000万円

2.ローン残高1500万円−売却金額2000万円=▲500万円

 

のいずれか小さい金額なので、このパターンでは損益通算できませんが、今回は買い替えたときの特例が適用できます。

一定の要件を満たせば売却損は3年繰り越せる

具体的には、売却する居住用不動産、買い替える居住用不動産それぞれについて以下の要件を満たせば売却損を3年間繰り越すことができます。

 

(売却する居住用不動産について)

・所有期間が売却する年の1月1日現在で5年を超えている。

・売却した居住用不動産に譲渡損失が生じ、その年の他の所得と損益通算しても、なお赤字が生じている。

 

(買い替える居住用不動産について)

・前の居住用不動産を売却して、翌年の12月31日までに新しい居住用不動産をローンで購入する。また、居住用不動産を先行して取得する場合には、翌年の12月31日までに前の居住用不動産を売却する。

 

・購入する居住用不動産は50平方メートル以上の床面積を居住用にする。

・購入後の居住用不動産のローンは、融資期間が10年以上であり、特例を受ける各年の年末に残債がある。

 

なお、500平方メートル以上の敷地を売却した場合には、特例の対象となるのは500平方メートルまでに限られます。また、各年の所得が3000万円を超える年については、特例を適用できません。

 

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斎藤 英一

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