自宅で老親の介護をするのは大変ですが、介護される側から見ると、大きなメリットもあります。入院すれば、患者は常に「アウェイ」な場所に置かれますが、自宅はホームグラウンド。普段の暮らしを保ちながら医師と接することができるのです。在宅医である筆者が、自身の両親の介護や看取りの経験を交えながら、自宅で介護をする家族が抱える問題や悩みを、どのように解決したのかを紹介します。

患者にとって病院は「常にアウェイ」な場所

かつて大学病院などで勤務医をしていた経験からいいますと、病院の医師はホームグラウンドである「病院」に患者さんのほうから来てもらい、そこで「病気」を診ているわけです。

 

では、患者さんにとっての病院はどうかといいますと、やはりアウェイでしょう。決して「ホーム」ではありません。

 

たとえ個室に入院していたとしても、そこはアウェイです。個室のベッドで寝ていると、主治医が入ってきて、聴診器で胸の音を聞き、おなかを触診して「大丈夫ですか」「痛みはありませんか」などと質問して出ていきます。そのあいだ、患者さんはまったくの受け身であり、注文をつけたり意見を述べたりすることは難しいことがあります。少しは不自由さもあります。

 

一方で、「自宅」というのは患者さんにとってのホームグラウンドです。むしろ在宅医のほうがアウェイになります。

 

そこでは患者さんは伸び伸びと試合ができます。つまり、普段の暮らしを保ちながら医師と接することができるのです。

 

さしずめご家族は患者さんにとってチームメイトみたいなものでしょうか。手助けしてくれる人たちです。このチームメイトも病院では、たまに顔を出すぐらいでしかありません。

 

自宅のベッドで、病院と同じように医師が胸の音を聞いたりおなかの触診をしても、ホームグラウンドであれば気楽に質問もできますし、意見も言えます。薬が合わないみたいだとか、腰の痛みが治まらないといった病状だけでなく、嫁が冷たいだとか孫たちがうるさいといった悩み、愚痴、ボヤきも口をついて出てきます。

 

こうした事情を知ることも、在宅医にとっては大事なことなのです。というのも、環境が患者さんの体調に与える影響は決して少なくないからです。

 

佐野 徹明

医療法人さの内科医院院長

 

 

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48歳、独身・医師 在宅介護で親を看取る

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佐野 徹明

幻冬舎メディアコンサルティング

開業医である父が突然倒れた。父の診療所を継ぎ、町の在宅医としてそして家では介護者として終末期の両親と向き合った7年間。一人で両親を介護し看取った医師による記録。

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