会社経営する上で避けて通れない、収益確保の問題。ビジネスで利益を出すのはもちろんのこと、そこからいかに節税して手残りを大きくするかは、経営者の永遠のテーマであるといえます。節税手法には様々なものが存在しますが、本記事では、非課税となる組織「LLP(有限責任事業組合)」を作り、利益を参加者同士で自由に分配する、知る人ぞ知るスキームを解説します。AXESS総合会計事務所の代表税理士・阪口雅則氏が解説します。

課税されない組織で、新しいビジネススキームを構築

読者のみなさんは「LLP(有限責任事業組合)」というものをご存じでしょうか。LLPを端的に説明するなら、「事業して儲かった利益を参加者で自由に山分けできる、課税されない組織(ビジネスのための箱、あるいはヴィークルと呼ぶこともある)」のことです。

 

「課税されない」という経営者から見れば夢のようなこの仕組みではありますが、活用にあたってはそれなりの制約も存在します。しかし、その制約やル-ルを見極めることにより、いままでにないビジネススキームの構築が可能になるのです。本稿では、知る人ぞ知る「LLP」の基礎知識とそのメリットを解説します。

 

(画像はイメージです/PIXTA)
(画像はイメージです/PIXTA)

そもそも「LLP(有限責任事業組合)」とは何か?

LLPとは「Limited Liability Partnership」の略称で、正式には「有限責任事業組合」といいます。

 

諸外国では、法人・個人だけではなく「パートナーシップ」という組織形態が積極的に活用されていますが、経済産業省は、そのような組織形態の多様性は日本の経済活性化にも有効であると考えました。そして経産省が旗振り役となり、立案・2005年正式に制定されたのが「有限責任事業組合契約に関する法律」なのです。

 

LLPという組織は、個人でも法人(会社)でもなく、少々個性的な「組合組織」に該当します。個人でないというのは理解できると思いますが、「法人でない」とはいったいどういうことでしょうか。以下、やや堅苦しい表現になりますが解説します。

 

「法人」とは、法律上「人間に準ずるもの」として、権利能力を有するとされています。「法人」は、いわゆる生物としての人ではありませんが、人格や権利の主体になり得るという点で、人間に準じて扱われているのです。なお、「人間」を法人と対比する場合は「自然人」と称します。法律的には「権利や義務が帰属する主体」を「人格」といい、法人にも人格が認められているため、法人に帰属する人格を「法人格」といいます。

 

LLP自体はこの「人格」がないため、「権利や義務が帰属する主体ではない」という立ち位置になります。ただし、その立ち位置が原因で問題が生じることもあります。

ほかの組織形態とLLPの比較…メリット・デメリット

法人格を有さないLLPは、法人格を有する株式会社や合同会社と、どんな違いがあるのでしょうか。下記に比較表を作成してまとめました。

 

[図表1]株式会社・合同会社・LLP・個人事業主の比較

 

では、LLPのメリットとデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

 

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