40代頃から始まる、老眼の陰で進む「気づけない病気」
人が「自分も年をとったなあ」と感じることはいろいろありますが、一番はじめに加齢を実感するのは「目の衰え」からではないでしょうか。
40代頃から多くの人に現れはじめるのが老視、いわゆる老眼です。この年代から目のピントがあいにくい、手もとの本やスマートフォンの文字が読みづらい、目のかすみや疲れが強い、といった症状に悩む人が急増します。この記事の読者にも、老眼鏡がないと本や新聞が読めない、前から使っていた眼鏡を遠近両用に替えた、かすみ目の目薬を常用している、という人も少なくないかと思います。
そうした老眼の陰で、気づかない間に少しずつ進行する症状があります。それが「白内障」です。白内障になると「ものがぼやけて見える」「強い光がまぶしくてしかたない」といった自覚症状が現れます。
ただ、これまで老眼による見えづらさに“慣れて”しまっていると、「ものが見えづらくなってきたな、老眼が進んだのかな」と思い、気づかずに放置してしまいがちです。しかしそのままにしていると、さらに症状が進み、たとえ治療をしても視力が戻らず手遅れになるため、気をつけなくてはなりません。
白内障は、加齢とともに「ほぼ全員がかかる」疾患
白内障の原因でもっとも多いのは、なんといっても「加齢」です。白内障には生まれながらのもの(先天性白内障)と、もともとよく見えていた目に、なんらかの理由で白内障を発症するもの(後天性白内障)がありますが、後者の白内障の9割を占めるのが、加齢が原因で起こるものです。
早い人では40代から症状がはじまり、50代で約半数、60代で約7割、70代で約8割、80代ではすべての人に初期の白内障がみられます。進行した白内障を抱える人は60代で約3割、70代で6割、80代では8割にも上ります。
人によって進行の速さや症状の程度には差がありますが、年をとってくれば、白内障はほぼすべての人がかかる疾患ということになるのです。
「白内障の見えにくさ」「老眼の見えにくさ」の違い
白内障は多くの場合、ゆっくりと進行します。そのため自分では変化に気づきにくいこともあるのですが、白内障の見え方にはいくつかの特徴があります。
老眼の場合、手元の近い部分にピントがあわなくなりますが、白内障の場合はものがぼやけたり、かすんだりと視界全体に支障が生じます。全体にもやがかかったような感じがするのが特徴で、老眼鏡を使っても見え方が変わらないときは、白内障の疑いが強くなります。
また白内障の目は光を通しにくいので、暗いところや夕暮れ時などはより見えづらくなり、視力低下を強く感じます。一方、夜間の車のライトなどの強い光も目の中で乱反射してしまい、まぶしく見える人が多いのです。
白内障が進むと色の見え方が変わってくるのも特徴で、50円玉と5円玉とを見間違える、紺色の靴下と黒い靴下の区別がつかない、ということもよくあります。「気のせいだろう」「年だから」とやりすごしていたら、実は白内障だった…というケースがあるのです。
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<白内障の見え方・症状>
■ものがぼやけて見える、かすむ
■ものが二重、三重に見える
■使っていた眼鏡があわなくなった
■暗い場所でものが見えにくくなった
■視力が急に低下した
■強い日差しや夜間の車のライトをまぶしく感じる
■色を見間違える、色の感じ方が人と違う
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