コロナ禍、不動産投資の当初の心配をよそに、住宅ローンの低金利による買い手急増、市場に出回っている売り物件の不足等から、アメリカ不動産は活況を呈しています。現地リアルターである、パシフィック サザビーズ インターナショナル リアルティの石橋由美子氏によると、「そのような売り手市場のなか、短期間で数千万円の利益をあげた」不動産投資家が存在するのだといいます。今回は、コロナ禍のアメリカ不動産の最新状況と、多くの不動産投資家から支持されるビジネスモデル「ハウスフリップ」について解説します。

不動産投資で高い利益を得るための鉄則「70%ルール」

フリップをする不動産投資家は、より高い利益を得るために、以下の基準で買値を算出します。

 

【理想の物件購入価格「70%ルール」の算出手順】
① ARV(After Repaired Value)の算出。リノベーションや修理を施して、物件を市場に出す際の“物件の予想市場価格“。
② 次にARVの70%を算出。
③ そこから修理代の見積もり費用を差し引いた額を算出。つまり、これがフリッパーにとって理想の物件購入価格となります。

 

リーマンショック時ならいざしらず、現在の不動産市場では、70%ルールに当てはまる理想の物件に巡り会うのは稀です。

 

そのため、多くのハウスフリッパーは、売り値表示価格の85%から90%の買付け価格を申し出てきます。最低でも10%から15%低い価格で購入できれば、1回の物件売買で数百万円の利益を得ることができるのでよしとしているのが現状です。

 

しかし、このような状況でも、理想の70%ルールを守って高い利益率を達成している勝ち組がいます。

コロナ禍の売り手市場で、表面利益率44%を達成した例

コロナ禍の売り手市場でありながら、数ヵ月間で数千万円の利益を得た投資家、というと信じがたいと思われるかも知れませんが、以下は筆者のクライアントの実例です。なお、円に換算しているので多少の誤差があることをご了承ください。

 

【実例】
・A物件の売り出し価格:8,000万円
・買付け申し込み価格:6,000万円(売出し価格より約25%低く購入)
・リノベーション費用:180万円(諸費用等は含まれていません)
・リノベ後の売買価格:8,900万円
・不動産売買によって得た表面利益率:約44%(このクライアントの実績平均表面利益率は約23.5%)

 

では、このケースが70%ルールに沿っているか見てみましょう。

 

【実例を70%ルールに当てはめて計算】
① ARV:8,900万円(物件の予想市場価格)
② 8,900万円x70%=6,230万円
③ 6,230万円-180万円=6,050万円(理想の物件購入価格)

 

なお、ARV(After Repaired Value )とは、先ほどもお伝えしたように、リノベーションまたは修理後の物件予想市場価格のことです。この計算は、上記の実例(買付け申し込み価格の6,000万円)とピッタリな数字が出ていることがわかると思います。

不動産投資は“チャンス“をつかむのも実力のうち

仕事を通して感じることですが、すぐに資産証明書を売り手に提出できる投資家はやはり強いです。決して現金購入する必要はありません。プライベートマネーやハードマネーという特別な短期融資を受け、レバレッジを使ってアメリカの多くの投資家はお金を回しています。

 

このケースは確かに運がよかった。といってしまえばそれまでですが、目の前を通り過ぎる“チャンス“をつかむのも実力のひとつではないでしょうか? “チャンス“は簡単に降ってくるものではありません。そして、誰にでも見えるものでもありません。

 

“不動産は人なり“とよくいわれます。同業者間の広いネットワーク、投資家、各分野の専門家との繫りを持って現地の活発に活動している、「経験ある不動産エージェント」と密に連絡ができる環境を保つことが、海外不動産投資の“成功の鍵“ともいえます。

 

 

石橋 由美子

パシフィックサザビーズインターナショナルリアルティ不動産エージェント

 

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