中国は1953年、第1次5ヵ年計画を策定したが、第11次以降は「計画」から「規画」へと名称変更された。2020年には「第13次5ヵ年規画」(2016〜20年)が終了しており、2021年3月の全国人民代表大会(全人代)では、2021〜25年を対象とする第14次5ヵ年規画が決議される予定である。本記事では、一般的な5ヵ年規画の特徴や策定プロセスを見ていく。なお、本稿は筆者が個人的にまとめたものである。

「計画」から「規画」へ名称変更も…

華語網サイトによると、中国語で一般に「計画」は中性的概念で、また内容が比較的詳細かつ具体的であり、「〇〇する」という動詞が多用されるのに対し、「規画」は褒義詞(称賛のニュアンスがある褒め言葉)で、内容が概括的、全方位的、想定されている時間は比較的長く、事態の発展を大局的に観察するというニュアンスの違いがある。

 

日本語では「規画」という単語は通常使用されないため、現在も「計画」と訳されているが、中国では歴史的に名称の変更にはそれなりの意味があった。

 

中国当局は名称を変更した当時、その趣旨を次のように説明している(2005年10月31日付共産党新聞)。

 

①1990年代に提唱された「社会主義市場経済体制」により、経済体制が基本的に「計画経済」から「市場経済」に転換。

 

②その結果、政府と市場の関係が大きく変わり、経済活動の主役は政府から企業などの市場主体に移った。

 

③これを受け、中央政府が詳細な指令を下部に下し、その実行を強制する「計画」から、よりガイドライン的な性格を持った「規画」に変更した。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

第11次5ヵ年規画は2001年に中国が念願の世界貿易機関(WTO)加盟を果たした後、初めて策定する5ヵ年規画だったこともあり、対外的に中国はもはや計画経済体制ではなく、市場経済国になったとアピールしたかった時期にあたる(なお現在も、米国等がWTOの場で中国を市場経済国とは認めていないことに対し、中国は抗議し続けている)。

 

ただ日本語訳同様、英語訳も通常「plan」のままで変わっていない。中国語名称を変更することで、それを国内にも知らしめようとしたということだろうが、どれだけ効果があったかは疑わしい。

 

(出所)中国共産党新聞網を基に筆者作成
[図表]過去の計画(規画)を特徴付ける背景と党キーワード (出所)中国共産党新聞網を基に筆者作成

 

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