中国5ヵ年規画で焦点となる向こう5年間の成長率目標は?

中国では、昨年10月末の党中央委員会全体会議において、習近平国家主席が「2035年までにGDPまたは1人当たり収入を倍増することは完全に可能」と発言。その後の建議報告会では、韓文秀党中央財経委員会弁公室副主任が「次期規画期間中の年平均5〜6%成長は実現可能」と説明した。これらの数字の実現可能性、またそもそも規画で何らかの成長率目標が提示されるのかを探る。本稿は筆者が個人的にまとめたものである。

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建議報告会で現行規画実施状況の詳細が明らかに

昨年10月末の党中央委員会全体会議(5中全会)で発表された第14次5ヵ年規画建議は「現行(13次)規画が設定した目標任務はまもなく完了する」と総括したが、5中全会終了数日後に開かれた建議報告会ではさらに詳細な説明がされている。

 

(画像はイメージです/PIXTA)
(画像はイメージです/PIXTA)

 

13の約束性指標(政府が公共資源の配分や各種行政手段を通して直接的に実現する指標で、その達成について政府の責任がより重視される)は基本的に予定通り達成、12の預期(予測)性指標(政府のマクロ経済政策を背景に市場が実現する指標)は大部分が超過達成、または順調に達成されつつあること、そして民生福祉関係指標は全て達成見込みとされた。

 

(注1)預期性指標と約束性指標の区別は第11次から導入。 (注2)第13次については、中国国家信息情報センターによると、25指標のうちいくつかはさらに複数の指標に細分化されていることから、実際は計33指標で、うち約束性指標は19。 出所:2017年4月30日付中国国家信息中心経済予測部「‘十三五’指標体系研究」、19年4月28日付「毎日経済新聞」
[図表1]規画(計画)の数値指標数 (注1)預期性指標と約束性指標の区別は第11次から導入。
(注2)第13次については、中国国家信息(情報)センターによると、25指標のうちいくつかはさらに複数の指標に細分化されていることから、実際は計33指標で、うち約束性指標は19。
出所:2017年4月30日付中国国家信息中心経済予測部「`十三五’指標体系研究」、19年4月28日付「毎日経済新聞」

 

ポイントとなる個別指標について見ると、以下の通りだ。

新型コロナの影響で、2020年の通年成長率は2.3%に

預期性指標の成長率について、「規画期間中の年平均成長率6.5%以上」という目標の達成は、2019年までの実績からまったく問題ないはずだったが、2020年は新型コロナの影響で、下期にかけては急速に回復したものの(『中国経済、新型コロナ不況脱却は真実か?成長軌道復帰論の考察』参照)、通年成長率は2.3%に止まった。

 

これに伴い、同じく預期性指標である「1人当たり可処分収入年平均6.5%以上」も、2020年実績2.1%で目標未達となった。新型コロナという特殊要因の影響が大きいが、減速自体は中期的なトレンドでもある。目標未達を受け、中国当局や中国地元メディアはもっぱら、

 

①2020年GDP規模が101.6兆元と初めて100兆元を突破

 

②国際的に先頭を切って新型コロナの影響から脱しプラス成長を回復

 

③1人当たりGDPが2年続けて1万米ドルを超えた

 

④ただし「成長煩悩」、つまり成長に伴う所得格差、地域の不均衡発展などの構造問題が益々挑戦的課題になっている

 

といった点を強調している。

 

2020年成長率は落ち込んだが、都市部新規雇用創出は1186万人、年目標900万人を超過達成した(※1)。経済規模の拡大で同じ1%成長で生みだされる付加価値が以前に比べはるかに大きくなっている一方、労働力人口(中国では女性16〜54歳、男性16〜59歳)は2019年末8.96億人(総人口比64%)、2012年9.4億人(同69%)をピークに減少、出生率も2016年13%をピークに低下傾向が続いていることを反映している(2019年10%、2020年も年末の新生児戸籍登記人数は1003.5万人で2019年末の同数値から15%の大幅減)。人力資源社会保障部(人社部)予測によると、第14次規画期間中に労働力人口は3500万人減少して軽度高齢化社会から中度高齢化社会に移行、さらに2030年8.3億人、2050年7億人にまで減少する。第14次規画建議はむしろ、高齢化に伴う労働力不足を懸念し、段階的に法定退職年齢を引き上げる方針を掲げており、人社部部長(大臣)は2021年2月記者会見でこの方針を再度強調している。

 

(※1)ただし中国内でも、新規雇用創出統計は失業者が再就職した場合や退職者のポストに新たな人が就いた場合なども含んでいるため、必ずしもネットの雇用創出を反映していないとの専門家の指摘がある(『コロナ禍、中国当局が舵を切った「復工復産」の進捗と問題』参照)。

 

 出所:中国国家統計局
[図表2]四半期成長率(前年同期比)  単位:%  出所:中国国家統計局

 

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1976年、大蔵省入省。1990年、アジア開発銀行理事代理、2000年、香港理工大学中国商業センター客員研究員。2003年、アジア開発銀行研究所総務部長、2006年以降、財務省神戸税関長、財務省財務総合政策研究所次長、財務省大臣官房政策評価審議官、2010年から大和総研常務理事等の要職を歴任。 2015年、NWB(日本ウェルス)の独立取締役に就任。一橋大学卒。香港中文大学普通話課程修了。

著者紹介

連載中国「第14次5ヵ年規画」の注目点

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