建議報告会で現行規画実施状況の詳細が明らかに
昨年10月末の党中央委員会全体会議(5中全会)で発表された第14次5ヵ年規画建議は「現行(13次)規画が設定した目標任務はまもなく完了する」と総括したが、5中全会終了数日後に開かれた建議報告会ではさらに詳細な説明がされている。
13の約束性指標(政府が公共資源の配分や各種行政手段を通して直接的に実現する指標で、その達成について政府の責任がより重視される)は基本的に予定通り達成、12の預期(予測)性指標(政府のマクロ経済政策を背景に市場が実現する指標)は大部分が超過達成、または順調に達成されつつあること、そして民生福祉関係指標は全て達成見込みとされた。
ポイントとなる個別指標について見ると、以下の通りだ。
新型コロナの影響で、2020年の通年成長率は2.3%に
預期性指標の成長率について、「規画期間中の年平均成長率6.5%以上」という目標の達成は、2019年までの実績からまったく問題ないはずだったが、2020年は新型コロナの影響で、下期にかけては急速に回復したものの(『中国経済、新型コロナ不況脱却は真実か?成長軌道復帰論の考察』参照)、通年成長率は2.3%に止まった。
これに伴い、同じく預期性指標である「1人当たり可処分収入年平均6.5%以上」も、2020年実績2.1%で目標未達となった。新型コロナという特殊要因の影響が大きいが、減速自体は中期的なトレンドでもある。目標未達を受け、中国当局や中国地元メディアはもっぱら、
①2020年GDP規模が101.6兆元と初めて100兆元を突破
②国際的に先頭を切って新型コロナの影響から脱しプラス成長を回復
③1人当たりGDPが2年続けて1万米ドルを超えた
④ただし「成長煩悩」、つまり成長に伴う所得格差、地域の不均衡発展などの構造問題が益々挑戦的課題になっている
といった点を強調している。
2020年成長率は落ち込んだが、都市部新規雇用創出は1186万人、年目標900万人を超過達成した(※1)。経済規模の拡大で同じ1%成長で生みだされる付加価値が以前に比べはるかに大きくなっている一方、労働力人口(中国では女性16〜54歳、男性16〜59歳)は2019年末8.96億人(総人口比64%)、2012年9.4億人(同69%)をピークに減少、出生率も2016年13%をピークに低下傾向が続いていることを反映している(2019年10%、2020年も年末の新生児戸籍登記人数は1003.5万人で2019年末の同数値から15%の大幅減)。人力資源社会保障部(人社部)予測によると、第14次規画期間中に労働力人口は3500万人減少して軽度高齢化社会から中度高齢化社会に移行、さらに2030年8.3億人、2050年7億人にまで減少する。第14次規画建議はむしろ、高齢化に伴う労働力不足を懸念し、段階的に法定退職年齢を引き上げる方針を掲げており、人社部部長(大臣)は2021年2月記者会見でこの方針を再度強調している。
(※1)ただし中国内でも、新規雇用創出統計は失業者が再就職した場合や退職者のポストに新たな人が就いた場合なども含んでいるため、必ずしもネットの雇用創出を反映していないとの専門家の指摘がある(『コロナ禍、中国当局が舵を切った「復工復産」の進捗と問題』参照)。
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