開発途上国における「新型コロナウイルス対策」
新型コロナウイルス感染リスクが高い開発途上国における感染症の広がりについて、日本のニュースではあまり見ない。その理由の1つは、ある程度感染を抑えられている点にある。開発途上国は世界人口の85%を占めるが、新型コロナウイルス関連死の25%しか占めていないとされている*4。
それはエボラ出血熱、SARS、
まず感染者を発生させないための政策が多くみられる。たとえば、インド洋に浮かぶモーリシャス共和国は、国内で感染者が発見される2ヵ月前の2020年1月22日には空港でのスクリーニング強化を始めていた。ベトナムにおいては症状でなく、感染リスクに基づいた隔離政策を実施した*5。
また、新型コロナウイルス感染症の封じ込めに有効な3原則(検査する・追跡調査する・治療する)を強化するための様々な取り組みも見られた。Africa Centres for Disease Control and Prevention(アフリカCDC)においては検査能力を高めるために、医療者を対象に臨床検査方法のトレーニングを行い、アフリカ大陸全土に派遣を始めている*5。
医療資材を安定供給するため、アフリカ連合はAfrica Medical Supplies Platform (AMSP)を構築し、国の枠を超えた医療資材の共同購入を始めた*5。
国連は開発途上国の新型コロナウイルス対策に対する資金的援助に加えて、社会基盤・教育基盤に対する支援を先進国に呼び掛けている*6。
日本が支援できるのは「人材育成」と「社会基盤構築」
日本国政府は開発途上国の新型コロナウイルス対策に対して、1,600億円以上の医療・社会的支援、さらに4.7億円の円借款を表明した*7。特に医療機器の提供、人材育成の支援、経済再生支援を行うとしている。
日本国内における感染症対策と経済対策が両立できる開発途上国支援として、人材育成と社会基盤構築の支援があげられる。
たとえば、国際医療技術財団(JIMTEF)は1988年から開発途上国の臨床検査技師、医師、薬剤師を対象にした臨床検査技術に関する国内研修を実施し、現在437名の修了海外研修生を89カ国へ送り出している。医療技術先進国として、このような取り組みのオンライン化と国際協力事業の拡大を加速させることの意義は大きい。
本財団JIMTEFにおいては、
また、社会基盤整備も重要である。WHOは、100以上の開発途上国が出産・死亡などの基礎的な医療情報を集約する能力がないとしている*8 。新型コロナウイルス対策において、正確な情報を国内外と連携することは重要である。IT先進国として日本が貢献できることは大きい。
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