日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「2020年の家計」。新型コロナウイルス感染拡大に揺れた2020年、家計としてはどうだったのか。また2021年はどうなるのかを考えていきましょう。

2020年12月、12ヵ月ぶりに実質収入がマイナスに

新型コロナウイルスの影響を大きく受けた、2020年の消費。反対に、収入面はどうだったのでしょうか。見ていきましょう。

 

勤労者世帯の実収入(総世帯)は、1世帯当たり52万9956円。前年比実質3.4%の増加。そのうち、二人以上世帯に限定すると、1世帯当たり60万9535円で、前年比実質4.0%増加。税金や社会保険料などを差し引いた手取り収入(可処分所得)は49万8639円で、前年比実質4.6%の増加となりました(図表2)

 

出所:総務省「家計調査 2020年平均」より作成
[図表2]2011~2020年実収入の推移 出所:総務省「家計調査 2020年平均」より作成

 

そのうち内訳を見ていくと、

 

●定期収入(世帯主収入) …実質0.8%減

 

●臨時収入・賞与(世帯主収入) …実質0.8%減

 

●配偶者の収入… 実質7.6%増

 

●他の世帯員収入…実質4.1%増

 

●特別収入…実質234.8%増

 

給与減、ボーナス減となった世帯主の苦しい状況を、ほかの家族がカバー。さらに一律10万円の特別定額給付金で、世帯としては前年比プラスを記録するカタチになりました。新型コロナウイルスの感染拡大の混乱のなか、消費は抑えめに、収入はプラスになったことで、世帯ごとに事情は異なりますが、家計としては余裕のある1年だったといえます。

 

しかし問題はこれからだということは、誰もが認識するところ。2020年の実収入を月ごとに見ていくと、5月に9.8%増、6月に15.6%増を筆頭に、1~11月までは前年比プラスを維持していましたが、2020年12月は1.3%減。12ヵ月ぶりの実質減少を記録しました(図表3)

 

出所:総務省「家計調査 2020年平均」より作成
[図表3]2019年12月~2020年12月勤労者世帯の実収入の推移 出所:総務省「家計調査 2020年平均」より作成

 

また厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、「現金給与総額」は1回目の緊急事態宣言が出された2020年4月以降、前年比マイナスを記録。賞与も含まれる「特別に支払われた給与」に注目すると、2020年5月は前年比13.0%減、11月は12.8%減。夏・冬の賞与が厳しかった現状を物語っています(図表4)

 

出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」より作成
[図表4]2020年「現金給与総額」等 出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」より作成

 

先月、菅首相は参院予算委員会で、新型コロナウイルス対策で10万円を給付する特別定額給付金について「再び(特別定額給付金を)支給することは考えていない」、「(新型コロナの影響で政府の支援が届いていない人がいる、という質問に対し)最終的に生活保護がある」と語っています。

 

2020年は、苦しいながらも給付金に助けられましたが、2021年は自力でなんとかするしかない、そんな1年になりそうです。

 

 

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