安定したリターンを得ながらリスク分散ができる「私募リート」。前回は、私募リートの実務は資産運用会社等によって運用されていることを説明しました。今回は、私募リートにかかわる主要プレーヤーについて見ていきます。

不動産を証券化して運用するにはプレーヤーが複数必要

ここでは、私募リートにかかわる主要なプレーヤーについて整理しておきましょう。不動産を証券化し運用していく作業には、以下の①から⑧のように様々な関係者や専門家がかかわることになります。

 

①スポンサー

私募リートで運用する不動産の原所有者で、投資法人に対して対象物件を譲渡します。「オリジネーター」ともいわれます。

 

②アセットマネージャー

資産の運用を行うことをアセット・マネジメント(AM:Asset Management)といい、これを実行するものをアセットマネージャー(会社組織の場合はアセットマネージャー会社)と呼びます。リートの資産運用会社の業務を引き受けます。

 

③プロパティマネージャー

不動産の管理業務を行うことをプロパティ・マネジメント(PM:Property Management)、その業務を行うものをプロパティマネージャー(会社組織の場合はプロパティマネージャー会社)といいます。具体的には、不動産所有者やアセットマネージャーからの委託を受けて、テナントの誘致・賃貸借管理などのテナント管理業務やメンテナンスなどの建物管理業務を担当します。アセットマネージャーがプロパティマネージャーを兼務することもあります。

 

④投資家

リートへの投資を行う者です。私募リートにおいては、個人投資家ではなく機関投資家が前提とされています。

 

⑤レンダー

リートに資金を貸し出す者です。主としてノンリコースローンを実行する金融機関が想定されています。

 

⑥アレンジャー

投資家やスポンサー、レンダーのニーズに応じながら、私募リートのためのスキームを構築していく役割を担います。証券会社などがアレンジャーを務めるケースが一般的です。

 

⑦信託銀行

不動産を信託受益権化する際には、多くの場合、信託銀行が受託者になります。

 

⑧デューデリジェンス関係者

デューデリジェンスとは、投資する物件の資産価値にかかわる問題の有無等をチェックする手続きです。弁護士や不動産鑑定士、建設会社、環境調査会社、司法書士、土地家屋調査士、コンサルタントなど様々な専門家が関与して行われます。

本連載は、2016年1月25日刊行の書籍『世界一わかりやすい私募REITの教科書』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

世界一わかりやすい私募REITの教科書

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初村 美宏

幻冬舎メディアコンサルティング

取引所に上場せず、オープンエンドで運用される不動産投資ファンド「私募REIT」。 1990年代にアメリカで人気となり日本でも2001年から発売が開始、不動産投資市場でも急成長を遂げている人気の投資商品である。主な投資者は機…

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