安定したリターンを得ながらリスク分散ができる「私募リート」。前回は、少額の自己資金でも大きな利益を狙える「レバレッジ」について説明しました。今回は、私募リート運営の具体的な仕組みについて見ていきます。

物件の運用や管理にかかわる業務は他社が行う

証券化によって不動産を移転する器となるビークルは、物件をただ保有することしかできません。リートにおいてビークルの役割を果たす投資法人は、投信法によって使用人を雇用することや、不動産の運用等の実質的な業務を自らが行うことができない決まりとなっています。そのため、物件の運用や管理にかかわる業務は他の会社に委ねることになります。

 

すなわち、①資産運用の業務は「資産運用会社」に、②資産保管の業務は「資産保管会社」に、③一般事務は「事務受託会社」に対して委託しなければなりません。それらの会社の業務内容は以下のような形となっています。

 

①資産運用会社

投資法人の委託により資産の運用・管理を行います。具体的には、投資する不動産の選定を行い、不動産をどのような条件で賃貸するか、売買するかなどの戦略を決定します。不動産の価値を維持するために修繕計画を立案し、実行することも資産運用会社の役割となります。

 

②資産保管会社

投資法人の資産の保管に関する業務を行います。委託された不動産については、自己の固有の財産と分別して保管することが義務付けられています。

 

③事務受託会社

投資法人の一般的な事務を取り扱います。主な事務としては以下のような事項があげられます。

●投資口を引き受ける者の募集に関する事務

●投資主名簿の作成及び備置き等

●投資証券の発行

●計算業務

 

【図表 私募リートの運営図】

本連載は、2016年1月25日刊行の書籍『世界一わかりやすい私募REITの教科書』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

世界一わかりやすい私募REITの教科書

世界一わかりやすい私募REITの教科書

初村 美宏

幻冬舎メディアコンサルティング

取引所に上場せず、オープンエンドで運用される不動産投資ファンド「私募REIT」。 1990年代にアメリカで人気となり日本でも2001年から発売が開始、不動産投資市場でも急成長を遂げている人気の投資商品である。主な投資者は機…

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