相続にまつわるトラブルの原因のひとつに、「介護問題」があります。「介護をしたほうが遺産を多くもらうのは当然」と思っていると、親の遺志とは裏腹に、仲がよかった兄弟間に亀裂が生じかねません。今回は、編集部に届いた介護問題が絡んだ相続にまつわるトラブルについて、相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の竹下祐史税理士に伺いました。

次男の言い分:感謝はしているが、遺産を隠すのはだめ

「父さんの面倒を兄が見てくれたのはありがたいと思っています。でも、黙って貯金を使い込むなんて」

 

そう話すのは次男のCさん。Cさんは大学卒業後、転勤が多い会社に新卒で入りました。入社前から覚悟していたことではありますが、やはり出張や転勤が多く、忙しい日々を過ごしています。

 

「Bは昔から両親から期待されて、大学も良いところに入りました。僕はそのあたりは、あまり気にかけられなかったので、学歴にあぐらをかいたりせず、仕事で成果を出してくしかなかったんです」

 

『次男なんだから、そんなに頑張らなくていい』『長男がやってくれるから』と、そんな言葉ばかりかけられた幼少期だったといいます。

 

「Bは昔からしっかりしていて、頼りになる兄でした。でも、僕のことをいつまでも子ども扱いするというか、対等に見ていないんだな、と思うことも多くて」

 

父のがんが宣告されたときもそうだったと、Cさんは目を伏せてため息をつきます。

 

「いくらこっちの事情を説明しても、兄は頭ごなしに否定するというか…」

 

『お前の考えが足りないんだ』『俺のいうことを聞いてれば間違いないのに』そんな態度をとられることも少なくなかったそうです。

 

「今所属している部署の都合で、どうしても東京に帰れないと何度もBに説明しました。せめて必要なものは宅配で送るから、何でもいってくれと。そう話しても『遠くから口ばかり出して』と怒られました」

 

直接的な負担をBさん一家に強いるのは申し訳なく思っても、他にどうしようもなかったといいます。Cさんが当時赴任していたのは四国。東京と往復しようとすると、時間もお金もかかります。だからといって、もちろん仕事を辞めるわけにもいきません。

 

「ときどき鼻につくところもありましたが、兄のことは尊敬していました。でも、遺産を隠すのは、だめでしょ。僕にも至らなかったところがあるとはいえ、裏切られた気持ちです」

 

弟は兄に裏切られた気分…(※写真はイメージです/PIXTA)
弟は兄に裏切られた気分で納得いかず…(※写真はイメージです/PIXTA)

 

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※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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