新憲法に「税の公平性」の明記を求める声
スリランカがイギリスの支配下から独立した後、選挙で当選した政治家や官僚は徐々に「貴族特権」を認める税制を築き上げてきたのだが、この不平等な税制は、今や新たな局面に差し掛かっている。というのも、この「貴族制」の頂点に立っているはずの「国王(大統領)」は議会の同意なく国民に税が課されている状況に明らかに気付いていないのだ。
スリランカの税制に公平性を導入する時がやってきた。市井を生きる国民も選挙で当選した政治家や官僚のような「国家貴族」も、税制の上では平等に扱われるげきなのは当然である。そして合意なく課税されるスリランカの差別的な体制は、終わりを迎えるべきなのだ。スリランカで制定が検討されている新憲法には、議会の合意を前提にした、全国民への平等な課税が保障される条項を盛り込む必要があるだろう。
税の不平等は公務員にとどまらない。民間企業に対してタックス・ホリデイ(免税期間)を与えることは悪政であるとの認識は既に広まっている。前政権はそれにとどまらずタックス・ホリデイを享受する「戦略的な企業」に勤めている高給サラリーマン達も納税免除の対象とした。求められているのは、官僚が特定企業に長期におよぶタックス・ホリデイを与えることではなく低率での税の統一なのだ。
公務員給与アップ直後に、消費税増税を計画
スリランカのシリセーナ大統領は、新聞上でVAT(付加価値税)が上がるという記事を見て、国民の「負担」になる増税には反対との意を表したと言う。もし本当ならば、この発言は控えめに言っても不誠実だろう。
なぜなら国民への負担はVAT増税によりもたらされるというよりも、国家公務員の給与や年金額の上昇、そして選挙で約束した補助金によってもたらさせるのであり、より平たく言えば、肥大化した国家と傲慢な大臣たちのせいなのだ。
2016年3月にウィクラマシンハ首相は増税の仕組みを説明した。ここで強調しておきたいのは、国の歳出を支え、肥大化した公共セクターや傲慢な大臣たちを養うために増税という手段を用いることは、紙幣を増刷することに比べれば、よっぽどマシであるということだ。
次回は、行政の偏った租税政策についてご説明します。