2016年1月、スリランカのシリセーナ大統領は、1978年に制定された現行の憲法を刷新しようと動き出しました。それに合わせ新憲法に「税の公平性」の明記を求める声が高まっています。大統領は納税義務を免除されているなど、スリランカの「不公平」とされる税体系の問題についてお伝えします。

不十分な議会における合意形成プロセス

VATの増税は2016年4月1日に開始すると見込まれていた。しかし、その開始は同年の5月2日に持ち越された。このような措置は法律上認められているため、明白に「合法」である。この法案について内閣では話し合いが持たれたが、議会ではそのような機会はなかった。おそらく議会で予算案が通ったなら、増税について告知がなされ、同意も得られたのだと、政府は考えたいのだろう。

 

課税開始日を巡る混乱の全て、そして、VAT課税について何も知らなかったと国家の現リーダーとは思えないような主張をする大統領のいずれも、課税に対し議会の同意をきちんと得るプロセスを経ていないことが原因だ。

 

議会が西洋で誕生した当時は、納税者しか投票できなかった。その形式を取ることで、税金の無駄使いを抑える効果がある程度あっただろう。今のスリランカにはこのような安全装置はないうえに、選挙で当選した支配階級は納税を免除されているのだ。

自国こそが「タックス・ヘイブン」のスリランカ大統領

パナマ文書が暴露され、一部の国のリーダーはタックス・ヘイブンを利用し課税を逃れようとしていたと責め立てられた。

 

スリランカの所得税法では、大統領は納税を免除されている。すなわち、スリランカは今日でも国のトップにとってはタックス・ヘイブンなのだ。スリランカの内国歳入法には次のように記されている。「スリランカ共和国の大統領府に勤める人が得る報酬、年金およびいかなる利益についても所得税を免除する」

 

イギリスでも、女王は所得税が免除されている。この特権は18世紀のジョージ三世の時代から続いている。当時、イギリスの所有地の管理を行う特殊法人Crown Estateからの収入を国家に引き渡す代わりに必要な支出を議会から受けとる取り決めを行った。それから今日まで、Crown Estateから国庫に入る利益(年間2億ポンド以上)は王室が税金から受けとるお金(年間3,000万~4,000万ポンド)よりも常に多い。


最終回は、スリランカの国会議員に優遇された税制などについてご説明します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年5月に掲載した記事「END THE ELECTED ARISTOCRACY」を、翻訳・編集したものです。

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