時すでに遅し「再生不能マンション」の特徴は…
◆ゴーストマンション症状2 悪化状態(再生不能状況)
この状態では、時間だけが経過して行き、築60年とか築70年頃になってくると、管理組合が機能しておらず、管理会社からは対応の煩雑さから見放され、管理業務委託契約の更新を拒まれ、自主管理するしかなく、将来計画も無く、資産価値の無くなった分譲マンションの状態になりますので、空き住戸は多くなりますが、転売が進まないマンションとなります。
適切な修繕も、修繕積立金の不足により実施されなくなり、見た目にも汚くなってきます。目に見えない設備機器や配管類の状況も腐朽して行き、水漏れなどの事故発生も多数散見されるようになってきます。しかし、修繕維持管理や修繕計画書も適切でないため、積立金も無く補修工事もできない状況になっています。
これらをまとめますと、以下のようになります。
1.解体の為の準備金はない=マンションの終焉意識のなさが理由ですが、個別の区分所有者自身の問題ではないので、特に動かない。この頃になると、転売できなくとも転居していく状態になり、外見からでも、荒廃しているように感じられるようになります。
2.総会決議なし=区分所有者の総意の確認手段がなくなり、リーダーも不在で、今さらどうしようもできない状態になります。
このような状態でも、固定資産税や他の税金の納税義務や、あるいは電気、水道、ガスの供給を受けなければならず、基本料金の支払いや配管の管理などに影響も出てきます。
区分所有者による、管理組合解散決議も解体費用の積立もない状態のため、管理組合による解体もできず、ましてや行政による解体などは到底できない。外部廊下や外部階段などは、腐朽による崩壊の危険や、災害時の消防設備や避難設備の不作動など、社会的にも悪影響を及ぼすことが予想される時でも、行政による手出しは難しいと考えます。もちろん、建物や消防設備の定期調査や定期検査報告では、指摘を受けることになります。
前述の通り、報道では、戸建住宅などにおいては、行政による民家の代執行解体撤去がされていますが、分譲マンションは金額が大きくて、税金支出では議会承認も受けられず、太刀打ちできません。
今までに行われた代執行解体費で、当該所有者からの資金回収は約10パーセントと報道がありました。
3.リーダーの不在=このような状態になっても、管理組合のリーダーシップを発揮してくれる区分所有者が出れば良いのですが、無理でしょう。区分所有者は、所有権はそのままにして転出していく状態です。管理費や修繕積立金の支払い責務も曖昧な状態になってくると思われます。
※本記事は連載『分譲マンション危機』を再構成したものです。