介護サービス費用…月20万円以上のケースも
介護者で最も多いのが、「要介護者の子ども」で31.5%。「配偶者」24.0%と続きます。介護者と同居か別居かで見ていくと、同居の場合は「配偶者」が43.9%、続いて「子ども」が38.2%と続きます。一方で別居の場合は「子ども」が79.0%。また「子の配偶者」は、同居の場合は13.7%、別居の場合は8.5%。義親の介護もしなければならない……そんな大変な状況下にいる人たちの悲哀が感じられます(図表3)。
介護者のうち、仕事をしているのは39.9%で、そのうち一般の会社員が51.2%。介護をしながら仕事をする人が4割いて、そのうち半分が会社員となっています。
介護の負担を見ていくと、「必要なときに手を貸す程度」が最も多く、47.9%。一方で「ほとんど終日」が19.3%と、介護者の5人に1人の水準です。また仕事をしている介護者に限定して見ていくと、「必要な時に手を貸す程度」に続いて「2~3時間程度」が14.9%となっています。
介護度があがると四六時中一緒にいることになりますし、仕事をしながらとなると、また違うストレスを抱えることになるでしょう。介護者の66.7%が「悩みやストレスを抱えている」と回答。その内訳をみていくと、「家族の病気や介護」が最も高く、75.0%。続いて「自分の病気や介護」が25.5%、「収入・家計・借金等」が19.8%と続きます(図表4)。
一方、要介護者の55%が「悩みやストレスを抱えている」と回答。なかでも「家族との人間関係」が最も多く13.4%、続いて「生きがいに関すること」が12.6%と続きます。
介護者の悩み・ストレスで上位に「収入・家計・借金等」が入っていましたが、やはり介護においてお金の悩みを抱えるケースは多いようです。実際にどれほどの負担なのでしょうか。介護サービスの利用状況をみていくと、介護者の77%は何らかのサービスを利用しています。そのうち最も多いのが「通所系サービス」で62.6%。ほぼ同じ割合で「訪問系サービス」が62.2%となっています。
実際の負担額をみていくと「1~2万円未満」が最も多く22.2%。「5000円未満」が21.3%、「5000~1万円」が16.0%と続きます。しかし介護度があがるにつれて負担額は増え、「立ち上がりや歩行、食事、排せつ、入浴の際に全面的な介助が必要である」とされる要介護3からは「2~3万円」が最も多い負担額になり、要介護4では「2~3万円」に続いて「7~10万円」の割合が多くなり、要介護5では「10~15万円」が13.3%、「20万円以上」も6.8%を占めるようになります。
この負担額、要介護者の72.2%が「年金」を、13.5%が「貯蓄」を充てています。「介護は年金で何とかなる」が多数派ですが、こちらも介護度があがっていくと年金だけでなく貯蓄も充てにしなければならなくなり、要介護3以上になると「貯蓄」も充てにする割合が18%を超えてきます。
厚生労働省「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金受給額の全国平均は14万5865円。月1~2万円未満の負担であれば、年金だけでも介護サービス費用を捻出できそうです。しかし要介護度があがると、心もとない、といった状況でしょうか(関連記事:『月20万円だったが…老後もらえる「公的年金額」に日本人絶句』。
また厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2019年)によると、1世帯当たりの平均貯蓄額は1077万4000円。高齢者世帯に限ると1213万2000円、それ以外の世帯は1017万6000円となります。また1世帯当たりの平均借入金額は、425万1000円。高齢者世帯に限ると72万3000円、それ以外の世帯では574万5000円。高齢者世帯に余裕があることがわかります。
一方で同調査で「貯蓄がない」と回答した高齢者世帯は14.3%。7世帯に1世帯にも上ります。実際に介護が必要な状況に直面した際、十分な介護サービスを受けられないケースも十二分にあるというのが現状なのです。
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