「要介護者」と「介護者」…それぞれの想い
介護する子どもと、介護される親――。そんなよくある介護の現場をみてみましょう。
年齢は50代、まだ仕事をしていますが、「脳卒中」で倒れて父の介護をしています。1日のうち、介護にさいている時間は「2~3時間」程度です。
「必要なときにデイケアを利用」しています。朝、9時前にお迎えがきて、16時くらいに帰ってきますね。
体調ですか? 正直「あまりよくない」です。まだ仕事もしているので、介護は大きな負担ですよね。「仕事や家事など」に影響がないといえばウソになります。
ストレスや悩みですか? そりゃ、ありますよ。やはり「父の介護のこと、病気のこと」。あと私たちも年ですから「夫の健康」も気がかりです。「お金の心配」もありますね……。
[要介護者Bさんの話]
年齢は80代、「脳卒中」が原因で介護が必要になりました。いまは「子ども」に面倒をみてもらっています。現在は「屋内での生活はおおむね自立していますが、介助なしには外出できない」という状況です。
ストレスですか? 言えることと言えないことがありますが、強いてあげれば「家族との人間関係」でしょうか。介護される側ですが、子どもにストレスとを感じることはあります。
介護サービスの費用負担ですか? 「月に1~2万円程度」だったかな。自分の「年金」を充てています。
この介護の現場、厚生労働省「令和元年国民生活基礎調査」から、最も多数派の回答を中心にまとめたものです。細かくみていきましょう。
要介護者等の年齢で最も割合が多いのが「85~89歳」。続いて「90歳以上」、「80~84歳」。80歳以上で7割強を占めています。男女別に見ると、男性は「80~84歳」、女性は「90歳以上。性差による平均年齢の違いによるものと考えられます(図表1)。
介護が必要になった理由で最も多いのが「認知症」で17.6%。「脳血管疾患(脳卒中)」「高齢による衰弱」「骨折・転倒」と続きます。男女別に見る と、男性は「脳血管疾患(脳卒中)」、女性は「認知症」がトップ。ここでも女性のほうが平均年齢が高いことが影響していると考えられます(図表2)。
介護者の日常における自立状況を要介護者の年齢別にみていくと、どの年代でも「屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしには外出できない」という回答が最も多く、「70~74歳」で36.3%、「75~79歳」で35.5%、「80~84歳」34.3%、「85~89歳」で37.5%、「90歳以上」で40.0%となっています
一方で、「屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが座位を保つ」とするのが「90歳以上」で21.0%と、5人に1人の水準。年齢が上がるにつれて介護度もあがり負担が増加していく傾向が見られます。
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