日本人の23%…老後は年金が頼り
老後の生活設計の期間はどの程度と考えているのでしょうか。「10年間以下」が12.2%、「15年間程度」が24.1%、「20年間程度」が38.4%、「25年間程度」が12.2%、「30年間以上」が8.9%。また年齢階級でみてみると、どの年代でも「20年間程度」との回答が最も高くなっています。
さらに老後の生活設計における公的年金の位置づけとして、「全面的に公的年金に頼る」が23.0%、「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」が55.1%、「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」が15.5%、「公的年金には頼らない」が4.8%。つまり8割は「年金がなくては困る」と考えています。
65歳で定年を迎えたとしたら、現在の平均年齢から考えると、余生は20年程度。それくらいであれば年金を頼りに暮らしていけるか……と想定している人が多数派ということがわかりました。
「年金だけで暮らしたい」は実現するのか?
しかし現在85歳以上人口は7.4%。13人に1人という水準です。定年後の余生、もう少し長く見積もっていたほうが安心ではないでしょうか。
総務省の「家計調査」(2019年)で「65歳以上世帯」に注目すると、高齢者世帯の「実収入」は世帯主が無職の場合で月額24万5374円。そのうち「公的年金」は20万2746円で、65歳を超えても年金以外に毎月4万円以上の収入を得ています。
一方で収入に対して毎月の支出額を引いた黒字月額は-2万8472円。つまり1年で35万円、10年350万円、20年で700万円近い赤字になる計算。毎月「公的年金+4万円」の収入を得ていたとしても、毎月3万円近い赤字となる……それが現状で、「年金だけで暮らす」というのは夢のまた夢です。
さらに厚生労働省「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」で給付状況をみていくと、厚生年金保険(第1号) 受給者は3,530万人で、受給者一人当たりの平均年金は月額約14万6,000円。世帯平均では20万円近い年金額も、一人当たりでは15万円以下。つまり単身の高齢者が年金だけで暮らしていこうと考えるならば、毎月の支出は14万円程度に抑えなければならないということ。かなり質素な生活を迫られます(関連記事:『都道府県別「年金受給額」ランキング…年55万円もの地域差が』)。
さらに日本の平均寿命は伸び続けています。せっかくの長生きがリスクとなる……日本はそんな悲しい状況に直面しています。
長生きのリスクに備えるために、資産形成の重要性はさらに高まっています。早めに準備を始めて損はありません。自身ができる範囲で、興味のある方法で、スタートしてみてはいかがでしょうか。
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