新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の再発例は、人々の暮らしに多大な影響を及ぼしています。今回は、世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が、コロナ禍での「同居していない親と子の面会交流」について解説します。

「新型コロナ」を理由で面会交流を拒否・中止されたら

新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、1月8日(金)から一都三県に緊急事態宣言が発令されました。

 

今回は

 

①午後8時以降の不要不急の外出の自粛の徹底

②飲食店、バー、カラオケなどの営業時間を午後8時までとすること

③出勤者の7割削減(テレワーク推奨) ④イベントの開催、施設利用の制限(収容率50%)とする

 

などが主な内容です。

 

世田谷用賀法律事務所では、平素から離婚事件、家事事件を多く取り扱っていますが、今回の緊急事態宣言発令により、大きく影響を受けたと感じるのは、同居していない親と子との「面会交流」です。

 

コロナ禍「面会交流」の現状は?(画像はイメージです/PIXTA)
コロナ禍「面会交流」の現状は?(画像はイメージです/PIXTA)

日頃から「面会させるか否か」もめている場合は要注意

コロナウイルスが蔓延してから、子どもと同居し、監護している親(監護親)からの「感染の懸念があるから、面会は差し控えたい」という要望は増えました。

 

当然、子どもと離れて暮らす親(非監護親)からは、「夜の街にも行っていないし、飲食店で食事もしていない。日々、感染しないように気つけているので、これまでと変わらずに会わせてほしい!」という反応になるわけですが、もともと、「会いたい」という非監護親と、「会わせたくない」「(会わせてもいいけど)一定の限度のもとで行いたい」という監護親とが対立して起こっているわけです。

 

元夫婦にとって、この「新型コロナ」の存在は手ごわいものになりました。「感染が心配」という監護親の気持ちも、「(気を付けているし)親である自分に会ったからといってリスクは変わらない」という非監護親の気持ちも、どちらもやむを得ないものだからです。

対面での面会交流を続行しているのは…

一方、離婚しても双方が親なことは変わらないし、お互い譲りあって対立していない円満離婚の場合、新型コロナウイルスの蔓延という事態が到来しても、柔軟にやりとりができているケースがあります。


●面会を希望する父親はテレワークに移行していて、実質的な感染リスクが低いとみられる場合。

●面会を希望する父親は外で働いているけれども、そのことに子どもを監護する母親(自分も働いているなど)に一定の理解がある場合。

●面会にはひょっとしたらリスクがあるかもしれないけど、会いたい親が自ら2週間の行動歴や体温表などをつけて提出して見せる場合。

●会う前に有料のPCR検査や抗原検査を受診する場合。

 

正解は一つではありませんが、皆それぞれがコロナと両立しながら親と子のつながりを保つ方法を模索しています。そして、その根底にあるのは、やはり「親子」ということ。

 

もし万が一、面会で感染するようなことがあったとしても「親だから……」という理由が、心の奥底にあるようにも見受けられます。

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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