近年では相続税の課税はますます重く、また、これまで許容されていた対策にも規制がかかるなど、非常に厳しいものとなっています。大切な資産を減らすことなく無事に相続を乗り切るには、どのような手段があるのでしょうか。「相続実務士」のもとに寄せられた相談実例をもとにプロフェッショナルが解説します。※本記事は株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

「約束と違うじゃん!」姉妹平等に分割するはずが…

●母親の広い敷地に3棟の家

 

50代のF代さんの母親は90歳。自宅で元気に生活をされています。F代さんは母親の自宅の敷地に家を建てて住んでおり、養子縁組をしているF代さんの娘が母親の家に住んでいます。

 

 

嫁いだ姉は別のところで生活をしていますが、母親の自宅の土地が広いので、姉の息子家族が住む家を建ててもらい、住んでいます。

 

よって、母親名義の土地には、母親と養子が住む家と、姉の息子が住む家と、F代さん夫婦が住む家の3棟が建っています。

 

●駐車場売却の約束を翻し、不利な分割を主張され…

 

母親の自宅の敷地は、母親が亡くなったあと、姉とF代さんで敷地を半分にして分ける約束になっています。

 

母親はもう1ヵ所、駐車場にしている150坪の土地があり、そこも姉と2人で分ける約束ですが、いつのまにか、姉は角地80坪、F代さんは残り70坪という前提になっています。

 

母親の相続対策をしないといけないので、F代さんがひとりで来られましたが、お聞きすると、姉と意見が食い違うことがあるとのこと。

 

具体的には、今後を考えると更地の駐車場が重荷になるため、姉妹で相談をして駐車場は売ることにし、母親の理解も得ていたにもかかわらず、姉が反対をしたそうです。そのため、現在は中断しているといいます。

 

●介護への協力は一切なし、財産は等分どころか「姉6割」を主張

 

F代さんは母親の敷地に住んでいるので、いままで何かといえば両親のために動いてきました。父親の介護はもちろん、これからの母親の介護も当然のようにF代さんが担うことになります。

 

姉にも分担してもらいたいのですが、1時間程度のところに住んでいることもあり、まったくといっていいほど協力してくれません。

 

それなのに、姉は当たり前のように「財産は等分」といい、駐車場に関しては角地80坪、中70坪となれば、等分どころか姉6割、F代さん4割となります。

 

姉は周りの人には「姉妹の仲がいいのでもめごとはない」といっていますが、F代さんは「いままでずっと姉のいうとおりに合わせてきたので、母親が亡くなったら距離をおきたい」というくらい、思い詰めた気持ちでいます。

 

◆感情をこじらせないためにも「情報共有」を 

 

ご提案したのは、感情的にこじらせないためには、F代さんが単独で動かず、いまから姉と情報を共有して一緒に行動したうえで、母親の了解のもとに対策をしたほうがよいということです。そして、姉妹で一緒に筆者のセミナーに来てもらうようお勧めしたところ、「次の機会に姉を誘って一緒に来ます」とのことでした。

 

姉を無視して計画をしてしまうとうまくいきませんので、「一緒に」「情報共有」が、キーワードです。

 

●できる対策

相続人で「情報共有」が理想。一緒にする方法を模索する
情報を共有して感情的なトラプルを避ける

●注意ポイント

きょうだいでも温度差がある。感情面には配慮が必要

 

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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