グローバルに事業展開する企業に、財務・法務・労務人事に特化したアウトソーシングサービスを提供するTMFグループ。世界最大規模のトラスト専門事務所としても知られる。その香港拠点となるTMF香港リミテッドの取締役で、プライベート・クライアント・ヘッドを務めるアンドリュー・ホー氏に、昨今注目を集める「オフショアトラスト」の仕組みや活用方法などを伺った。聞き手は、香港の新しい金融機関であるニッポン・ウエルス・リミテッド(NWB/日本ウエルス)の長谷川建一COOである。今回は、トラストと財団の違いなどを取り上げる。

国家間の連携が進むグローバル税制などの影響は?

長谷川 グローバル税制についてお伺いします。昨今の動きとして、グローバル税制や国を超えて口座情報の開示などの要求が高まってきていますが、こういった動きはオフショアトラストのビジネスにどのような影響を与えているのでしょうか?

 

 

アンドリュー 各国の政府間で開示の条件を定めており、それに従っていく必要があります。ただ、それがトラスト設定のビジネスにマイナス要因となることはないと思います。そもそものトラストの仕組みに影響を与えるわけではないですし、トラストを活用したいというニーズに変わりはありません。逆に資産隠しに利用しようと考えていた人がいれば、そのような人はトラスト設定を避けるようになり、結果的に顧客の質が向上し、業界全体にとってプラスとなるでしょう。

 

長谷川 トラストとは、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアといったコモン・ロー(英米法/判例法主義)の国々で、古くから馴染みがあり利用されてきた仕組みだと認識していますが、それらの国以外からのニーズも最近増えつつありますか?

 

アンドリュー 確かにコモン・ローの国ではトラスト、シビル・ロー(判定法主義)の国では財団が設立されることが多いです。トラストと財団は形態が異なりますが、どちらも今まで話した様な資産管理ができます。また、どちらの法律がどちらの形態に向いているということはありません。お客様が遵守すべき法律などに従って、どの形態が適しているか検討し、サービスを提供するのが私たちの仕事です。お客様のニーズに従って、法律、税金における専門家を招集し、最適なソリューションを提供します。また、設定後も、その間に起こった法律や税制の変更などにも留意し、随時アドバイスします。出来上がった仕組みを型にはめた商品のように提供するのではなく、細かなニーズに合うサービスを提供しています。

自分で管理したいという傾向が強いアジアの富裕層

長谷川 では、トラストと財団の違いについて教えていただけますか?

 

アンドリュー トラストは資産を拠出する委託者、その資産を管理する受託者、そしてその資産から生ずる利益を得る受益者の3者で成り立つ取り決めであり、法人格はありません。財団は法人格を有するため、訴訟などの対象になりえます。財団は資産を直接保有しますが、トラストでは受託者が資産を保有します。

 

長谷川 アジアでもトラストや財団設立のニーズは増えていますか?また、欧米とアジアでは異なったニーズがありますか?

 

アンドリュー アジアでは、特に最近、起業家からのリクエストが多いです。彼らは自分で一からビジネスを築きあげたので、資産管理においても他人任せではなく自分で運営したいという要望が、欧米のクライアントに比べて強い傾向が見られます。ですから、一般的なトラストで受託者が管理するといった形態ではなく、ある個人、もしくは複数の人で構成される委員会が投資判断の権限を持てるReserved Power Trust(リザーブド・パワー・トラスト)が好まれます。一方で、委託者が権限を持ちすぎると、トラストとしての機能を失いますし、こういった取り決めをするにあたって、専門家も交えて何度も話し合い、詳細を詰めていく必要があります。先ほどもお話したとおり、クライアントによって異なるニーズを理解し、権限のバランスも考慮し、最適な形態を提供することが何より重要です。

 

 

長谷川 トラストを設定するまでに、細かい確認作業を行う必要があるんですね。

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    本稿は、情報提供を目的として、インタビュー時点での経済データ等をもとに個人的な見解を述べたもので、TMF香港リミテッドおよびNWBとしての公式見解ではありません。また、特定の金融商品への投資の勧誘を目的とするものではありません。

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