米雇用者数は14万人減少
8ヵ月ぶりのマイナス
■米労働省が1月8日に発表した12月の雇用統計によれば、非農業部門雇用者数は前月比14万人減と、8ヵ月ぶりに減少しました。雇用者数は前月の33.6万人増からマイナスに転じ、事前の市場予想(10万人増・FactSet集計)も下回りました。また、失業率は市場では若干の悪化(6.8%・同)が予想されていましたが、6.7%と前月から変わらずとなりました。
■米国では新型コロナの感染再拡大に伴い、各州で行動制限が課されていることから、飲食を含む余暇・娯楽を中心に、雇用市場の改善に急ブレーキがかかりました。
足元悪化も、先行きの経済見通しは引き続き堅調
■今回の雇用統計は減速となり、足元でも1日あたりの新規感染者数が高水準なことから、1月の雇用統計も引き続き厳しいものとなることが予想されます。
■但し、悪化の理由が新型コロナの感染再拡大であることから、行動制限や新型コロナワクチン接種の普及によって状況の改善が期待できることに加え、追加の経済対策による経済浮揚効果から、米国経済の先行きは引き続き堅調とみられています。
追加の経済対策とワクチンに期待し、業績相場入りを待つ展開
■8日の米国株式市場は、積極的な金融緩和が続く中、民主党がホワイトハウスと上下院議会を押さえたこともあり、追加的な経済対策への期待が高まり、主要3指数揃って最高値を更新しました。
■今後、新型コロナワクチンの有効性に疑問符がつくような状況に陥れば市場のセンチメントが一変するリスクもありますが、新型コロナの収束が期待できる状況が続けば、弱めの経済指標が出ても、積極的な金融・財政政策への期待から、米株の堅調さが続く可能性があります。また、今週から始まる10-12月期業績発表で企業の収益力の高さが示されれば、さらに株価を押し上げることが見込まれます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米雇用統計悪化も、株価は最高値を更新』を参照)。
(2021年1月12日)
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