新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の再発例は、人々の暮らしに多大な影響を及ぼしています。今回は、世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が、緊急事態宣言で「リモートワーク」が推奨されるなか、出勤で「新型コロナウイルス感染」の場合、労災は適用されるのか解説します。

クラスターではないが…ほかの職員が感染した場合

では、クラスターとまではいえないけれど、ほかの職員に感染者がいた場合で、感染したらどうなるのでしょうか。

 

◆感染者が、私生活で他の方に会ったり、飲食をしたりしている場合

この場合は、感染源が職場とは限らないことになるので、労災の認定は難しくなります。

 

一方、感染した方は私生活では日用品の買い出しくらいで、家族以外との濃厚接触はなかった場合。この場合は感染源が職場以外である可能性が低いことになるので、労災の認定の可能性があります(厚生労働省HP「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る労災認定事例」より)。

 

◆顧客に接する接客業の場合

小売店販売員など、店頭での接客業務をしていた場合において、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された場合はどうでしょうか。

 

この場合は、発症前14日間において、私生活での外出については、日用品の買い物や散歩程度しかしていなかった場合、私生活における感染のリスクは低いものと考えられる一方、接客中の飛沫感染や接触感染が考えられますので、労災認定がされる可能性があることになります。

 

一方、私生活でも、友達と会って飲食をするなどの行動があった場合。この場合には私生活における感染のリスクもあることになりますので、労災認定がされるかどうかは難しい問題になりそうです。

 

「職場と家庭との往復だけ」(画像はイメージです/PIXTA)
「職場と家庭との往復だけ」(画像はイメージです/PIXTA)

 

こうやって考えてみると、つくづく「日用品の買い出し以外は、職場と家庭との往復だけ」であることが要求されているように思えます。実際のところ、日用品の買い出し以外、職場と家庭の往復だけにすれば感染リスクも下がり、万が一感染したときも労災適用になることになるのです。

 

 

 

水谷 江利

世田谷用賀法律事務所 弁護士

 

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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