日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「感染症」。新型コロナウイルスの指定感染症としての扱い期限が延長となる見込みですが、そもそも感染症とは、どのようなものなのでしょうか。

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「感染症での死亡者」を都道府県別にみていくと

そもそも感染症は、ウイルスや細菌などの病原体が体に侵入して増殖し、発熱や下痢、咳等が出る病気です。病原体が体に侵入する経路には、妊娠中、または出産の際に親から子に感染する垂直感染と、感染源から周囲に広がる水平感染があります。また水平感染は、大きく接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染の4つに分けられます。

 

感染症は珍しいものではなく、身近に存在するもの。ウイルス性胃腸炎であるノロウイルス感染症は11~3月くらいが、同じくウイルス性胃腸炎のロタウイルス感染症は3~5月、通常のインフルエンザは12~3月あたりに、6~9月あたりには、いわゆる夏風邪といわれる手足口病や咽頭結膜炎(プール熱)などが流行します。1年を通して感染対策が必要だといえます。

 

また厚生労働省の「人口動態統計」によると、2019年、感染症による死亡者は全国で9649人。そのうち、3575人が「インフルエンザ」、2220人が「感染性胃腸炎」、2087人が「結核」で亡くなっています(図表1)

 

出所:厚生労働省「人口動態」(2019年)より作成
[図表1]2019年「感染症による死亡者」の内訳 出所:厚生労働省「人口動態」(2019年)より作成

 

そのほか「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症」「クロイツフェルト・ヤコブ病」「急性ウイルス性肝炎」「細菌性髄膜炎」は100人を超える人が亡くなっています。死亡者が出た感染症は、2019年では36。いかに感染症が身近なものであるかがわかります。

 

さらに都道府県別にみていくと、最も感染症での死亡者が多いのが「東京都」で830人。「大阪府」682人、「神奈川県」564人、「北海道」504人、「埼玉県」477人と続きます。やはり人口が多い「東京都」では感染症での死亡者が多くなっています。

 

また対人口比でみていくと、最も感染症による死亡者が多いのが「鹿児島県」。「青森県」「大分県」「高知県」「熊本県」と続きます。一方、対人口比で最も感染症による死亡者が少ないのが「石川県」。「東京都」「宮城県」「神奈川県」「千葉県」と続きます。人口比でみれば「東京都」の感染症での死亡者は少ないといえます(図表2)

 

出所:厚生労働省「人口動態統計」(2019年)より作成
[図表2]都道府県別「感染症死亡者対人口比」上位10 出所:厚生労働省「人口動態統計」(2019年)より作成

 

人口比で最も感染症による死亡者多い鹿児島県について詳しく見ていくと、「インフルエンザ」による死亡が最も多く34.8%、続いて「感染性胃腸炎」が24.1%、「結核」が22.5%。この3つで8割を超えています(図表3)

 

出所:厚生労働省「人口動態統計」(2019年)より作成
[図表3]鹿児島県における感染症による死亡者の内訳 出所:厚生労働省「人口動態統計」(2019年)より作成

*その他:急性ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く)、クロイツフェルト・ヤコブ病、レジオネラ症、重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る)、細菌性髄膜炎(侵襲性インフルエンザ菌感染症、侵襲性髄膜炎菌感染症、侵襲性肺炎球菌感染症を除く)、播種性クリプトコックス症、日本紅斑熱、劇症型溶血性連鎖球菌感染症、後天性免疫不全症候群、梅毒、無菌性髄膜炎、侵襲性肺炎球菌感染症

 

新型コロナウイルス感染症による死亡者は、3500人を超えています。昨年の感染症による死亡者の内訳も大きく変わるでしょうが、ひとつ言えるのは、感染症は決して珍しいものではなく、人々の生活の身近にあるもの。徹底した感染症対策は、1年を通じて行う必要がある、ということです。

 

 

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