20年間で会社員の給与は増えた、それとも減った?
激動の2000年でしたが、国税庁「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与額は408万2000円。その後の平均給与は減少トレンドで、リーマンショック後の2009年には350万2000円。10年間で50万円も給与が減るという、会社員にはつらい時期でした。
その後、アベノミクスの効果もあり、給与は回復傾向に。2019年には387万9000円までに戻りましたが、新成人が生まれた2000年の水準までにはなっていません(図表1)。
もう少し給与の変化をみていきましょう。事業所の規模別にみていくと、2000年、10人以上の企業の平均給与は363万8000円、100人以上で410万7000円、1000人以上で498万4000円、5000人以上で519万円。10人以上の事業所と、5000人以上の事業所では155万2000円の差が生じていました。
そして昨年、2019年。10人以上の企業の平均給与は358万9000円、100人以上で377万円、1000人以上で431万8000円、5000人以上で410万7000円。10人以上の事業所と5000人以上の事業所には51万8000円の給与差と、大企業のほうが優位なものの、その差は100万円近く縮まっています(図表2)。
男女(1年勤続者)で給与の推移をみていきましょう。2000年、男性の平均給与は566万5000円。一方女性は280万円と、286万5000円もの差がありました。
その後、2019年。男性の平均給与は539万7000円、女性は295万5000円と、その差は244万2000円と、40万円ほど縮まりました。しかし依然として男女の給与差は大きいままです(図表3)。
役員クラスの給与についてもみていきましょう。2000年、役員の給与平均は681万2000円。資本金2000万円以上の株式会社で847万2000円、1億円以上で1200万2000円、10億円以上で1415万8000円でした。
それから20年後の2019年。役員の給与平均は654万5000円と30万円近くダウン。資本金2000万円以上の株式会社で832万2000円とダウンしていますが、1億円以上では1279万円、10億円以上で1598万5000円。大企業では役員クラスの給与はアップしています(図表4)。
この20年間を振り返ると、平均給与は2000年の水準には戻っておらず、回復傾向にあったところに、新型コロナウイルス……。平均給与は再び下降トレンドに向かっています。厚生労働省による「毎月勤労統計調査」によると、昨年4月以来、現金給与総額が前年比マイナスを記録しています(図表5)。
「会社員の給料、ぜんぜん増えてないし……」と、これから社会に羽ばたいていいく新成人にとっては、少々げんなりする話かもしれません。厳しい現実を前に、早め早めの資産形成が必須の時代といえるでしょう。
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