本記事は株式会社財産ドック著『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

長男唖然「まさか多摩川をまたぐ決断をするとは…」

◆中学生の娘にも配慮した相続対策

 

今回の相続対策について長男夫婦に伝えると、引っ越すことも今の持ち家を売却することも快諾してくれました。持ち家についても購入から15年近く経っていて、そろそろ建て替えやリノベーションを考えていたそうなので、父と相談しながら間取り等を決められるなら何の問題もないと言ってくれました。

 

それよりも長男は父であるDさんが越境することを認めたことに驚いていました。今までDさんは土地を守りたいと考えるタイプだったので、まさか多摩川をまたぐ決断をするとは、と意外な心地だったようです。しかし、だからこそ、子どもに迷惑かけたくないというDさんの気持ちを強く感じてうれしかったとのことでした。

 

また、嫁にいった長女も現預金をくれるならその方がうれしいと納得してくれました。Dさんは、現預金をある程度確保しておくためにも、結局一部借金をして建物を建てましたが、賃貸を併用することで毎月のローンを返しても余りある家賃収入を得られるので、その後の生活には問題ありませんでした。むしろ、現預金がさらに積み重なっていくことが考えられたので、相続税が高くならないように、年に何回かは旅行して、しっかりと使い切ってくださいとお伝えしました。

 

そして実は、今回の相続対策で最も配慮をしたかったのは長男夫婦の子、つまりDさんにとっての孫でした。

 

当時、中学2年生で世田谷から川崎への引っ越しですから、通常であれば学校が変わることになります。しかし思春期ということもあり、学校が変わるということがいろいろな影響を及ぼす懸念もあり可哀想なことだったので、学校を変えなくてもいいようにできないかと教育委員会に申し出ました。

 

本来は東京都と神奈川県ということで都道府県をまたがり、行政区も異なるので転校せざるを得ないということになるのですが、多感な歳ということを配慮して、行き帰りの通学を親が送ってあげられるなら、という条件のもと、認めてくれたのです。

 

お父さんは、それで娘が転校しなくてもいいならと喜んで承諾し、高校生になるまで毎日娘を学校まで送り迎えをすることを決めてくれました。これによって相続対策の方向性は完全に確定し、実施段階でも何の問題も起きませんでした。皆が納得して順調に生活しつつ、いつ相続が起こっても誰も困らない状態が出来上がったのです。

 

税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

株式会社財産ドック

幻冬舎メディアコンサルティング

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