本記事は株式会社財産ドック著『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

高額すぎる相続税が判明!まったく払えない額で…

問題点1 借地権とはいえ高額な相続税になる

 

土地には底地と借地があります。事例1では地主の立場から貸地が不良資産であるとお伝えしました。底地は収益性があまり見込めないことが多いために、相続前に整理、処分した方がいいのです。

 

しかし今回は、地主から土地を借りている側の問題です。借地の場合、自分が建物を建てて住んでいることも多く、居住するための利用という意味で、その価値は十分に果たしており、不良資産という位置づけにはなりません。ただし、だからといって評価額が低いことにはなりません。

 

 

底地や借地にはそれぞれが持つ権利の割合が地域ごとに決められています。地主側が持つ借家権、借り手側が持つ権利を借地権と呼びますが、その借家権割合は国税局により、それぞれの場所によって決められています。もちろんこの権利割合は相続税上の評価目安であって、保護された権利割合ではありません。

 

例えば1億円の土地があったとすると、地主は30%の3000万円、借地権割合が70%の地域であれば、借り手側は7000万円の不動産を所有していることになります。実際にDさんの150坪の土地の借地権割合は70%でした。路線価格は㎡あたり60万円だったので、単純な計算でも約2億1000万円の評価額となります。このままにしておけば、相続人に何千万円もの相続税が課される危険性があったのです。

 

これはつまり、自分が土地そのものを購入していなくても、土地を借りて建物を建てた時点で高い評価額の資産を所有することになる可能性があるということです。

 

Dさんは既に奥さんを亡くしており、長男と嫁にいった長女、その2人が相続人となります。約2億1000万円の評価額の借地を含め、全体の財産から相続税を算出したところ、約4000万円が課税されるという結果になりました。4000万円の現金をおいそれと支払えるような人は少ないはずですので、この時点で納税資金についてあらかじめ考えておく必要があると判断することができます。

 

土地を購入するか否かなどを考える前に、納税資金問題の解決を優先しなければならないケースだったのです。

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税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

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