見落とされがちな「障がいをもつ子どもの学び」
しかし、「子どもたち自身が生きる喜びを得ること」に対してはどれほど注視されているでしょうか。見た目の重度さにより、その子本人の活動に関しては「わからないだろう、できないだろう」と決めつけられ、ないがしろにされている現状があります。前述の特別支援学校における学習内容に関しても、障がいが重い場合には見た目の重度さのため、わかる力も低く見積もられ、高等部であっても教科書として絵本が配布されることが多くあります。
さらに、現在のところ、特別支援学校高等部などを卒業した後に、学習を継続していくために必要な社会的資源も非常に限られています。
どんな子どもにとっても生きることは学ぶこと。自ら自分の世界を広げることは生きる喜びであり成長の糧です。
最近では、自宅を訪問し学習支援を行う団体が少しずつ立ち上がっています。意思を表出することが困難なため、また思うように体を動かすことができないため、支援者にとっても子どもの理解と関わり方は依然として大きな課題ですが、家族の負担にばかり目がいっていた社会に、本人の生に寄り添う取り組みが芽生えたことは大きな前進です。
——制約が多いため諦めていたけれど、方法さえ工夫すればできる事がたくさんあることに気づいた
——ずっとやりたかったけれど理解されず、自分の中に封印していた活動ができた
——家族が我が子の可能性に気づき、親としても希望が持てるようになった
そんな声は少なくありません。
子どもと家族の集いの場所をつくる
さて、地域には子ども食堂を始め、子どもの居場所が次々と開設されています。一方、重い障がいのある子どもやお母さんは自宅に籠りがちになり、居場所は医療機器が所狭しと置かれた自宅だけ、という現状があります。
しかし、いくら障がいが重くても、体調の安定しているときは外出し自宅以外で学習したり活動したりしながら生活に変化を持たせる機会は可能な限り必要です。
子どもを含め、家族が孤立しないような集いの場所を今後作っていく必要があります。
このような場所の存在は、障がい者自らの発信基地となり、地域に障がいへの理解や共感、社会に多様性と心のバリアフリーを生むことにつながるでしょう。そして互いに支え合う空気が作られ、物理的なバリアフリー化への動機付け、という波及効果も期待できるのではないでしょうか。
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