祖父の家のタンスで見つけた資料で大逆転
そんなある日、思い出がたくさん残った祖父の家。“それ”に気づいたのは、Aさんが遺品整理をしていたときのことでした。
「あれ?」
引き出しの奥に証券会社の資料を見つけたAさん。どうやら、亡くなった祖父は証券口座をもっていることがわかりました。資料にあったログインパスワードで祖父の口座をのぞいてみると……
「わっ、すごい!」
祖父から株式投資の話など聞いたことがなかったAさん。伯父や伯母からも話が出てこなかったということは、祖父が株式を買ったのはすごく昔のことでしょう。長い間、取引らしい取引はしていなかったかもしれません。祖父が持っていた株式は大きく値上がりし、これらを売却すれば、借金の返済ばかりか、大きくプラスになることがわかったのです。
「よかった、これで借金は返すことができる」
Aさんは、大好きな祖父が遺した自宅はできれば売りたくないと思っていました。株式をすべて売却すれば、売らずに済む見通しがたったのです。
伯父も伯母も、お金の匂いには敏感で…
しかし、そう簡単にことは終わりませんでした。どこから知ったのか、長男と長女が遺産のことを嗅ぎ付けたのです。
Aさんの携帯に、突然電話がかかってきました。
長女「父さんの遺産のこと聞いたわよ。あんた、独り占めしようっていうんでしょ」
Aさん「え?」
長女「来週の日曜日、父さんの家で話し合いましょ。兄も呼んだから。それじゃ」
Aさん「伯母さん! ちょっと!」
イラついた声で一方的に告げてきたかと思えば、電話は切れてしまいました。追って詳しい時間なども伝えられ、Aさんは仕方なく約束通りに足を運びます。
長男「妙に物分かりがいいと思ったら、遺産を独占しようとしてたなんてな」
Aさん「違います! 僕もあの時は、借金しかないと思ってたんです」
長女「そんなの信じられるわけないでしょ!」
Aさん「そんな……」
Aさんは、もちろん嘘なんてついていません。しかし、どれだけ真摯に説得しようとしても、長男と長女は耳を貸そうとしませんでした。
長男「仮に本当に知らなかったとしても、だ。遺産があると分かったら、俺たちにまっさきに連絡するのが筋じゃないのか」
長女「そうよ! 自分が父さんに可愛がられてたからって調子に乗ってるんじゃないの? 孫の立場を利用しようとしてるのよ!」
長男「やっぱり、俺たちに秘密にして一人だけ得をしようとしたんじゃないのか?」
長男と長女は、どんどん語気を荒くして捲し立てます。最初は大人しく反論していたAさんでしたが、納得できるわけがありません。
Aさん「でも、伯父さんも伯母さんも、相続放棄したじゃないですか。お祖父さんの遺産は、借金も資産も含めて、すべて僕が相続したんです。今さら権利を主張されても、どうしようもないですよ!」
長男「……お前が認めないのはわかった。だが、これで済むと思うなよ」
そういい捨てて、長男と長女は帰っていきました。
「どうしよう。借金を肩代わりするつもりで相続したのに、まさかこんなことになるなんて……」
Aさんは一人残された部屋で頭を抱えてしまいました。
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