新たな動きが注目される中央銀行デジタル通貨

来年は中央銀行デジタル通貨(CBDC)に対する関心が高まる可能性があります。中国は22年の冬季五輪(北京)に照準をあてCBDCを発行するとの観測もあります。ただ、逆に言えば、主要国の中ではCBDCの準備で先行する中国でも発行はまだ先と見られます。当面は制度の準備が重要となる中、日銀の報告書を例に想定されるCBDCのポイントを述べます。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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中央銀行デジタル通貨:各国でCBDCの発行を模索する動き

中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタル人民元の発行準備が進行しています。デジタル人民元の実証実験は20年10月中旬に広東省深圳市で初めて実施されました。その後成都市、新都市、雄安新区の4都市と北京(「4+1」)でも実証実験が行われています。なお蘇州市では12月11日から市民ら10万人に200元(約3200円)を各人のスマートフォン専用アプリに配布するなど、実験の規模も拡大しています。

 

日本銀行は10月9日に「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針(報告書)」を公表しています。これは先進国の中央銀行と国際決済銀行(BIS)が同日に公表した中央銀行デジタル通貨(CBDC)のレポート(CBDCの役割などの原則を示した)に沿う内容です。CBDCは様々な国で発行の可能性が模索されています。

どこに注目すべきか:中央銀行デジタル通貨、実証実験、間接型

来年は中央銀行デジタル通貨(CBDC)に対する関心が高まる可能性があります。中国は22年の冬季五輪(北京)に照準をあてCBDCを発行するとの観測もあります。ただ、逆に言えば、主要国の中ではCBDCの準備で先行する中国でも発行はまだ先と見られます。当面は制度の準備が重要となる中、日銀の報告書を例に想定されるCBDCのポイントを述べます。

 

まず、報告書、並んで日銀幹部がCBDCを説明するとき繰り返し述べる「日銀は現時点において、CBDCを発行する計画はない」というのが基本的な立場です。ただ、報告書ではCBDCのフェーズ1を21年度にも開始する意向です(図表参照)。恐らく、様々な検証をしながらフェーズ1や2を通じてCBDCのシステムを実験環境として構築してゆくイメージと思われます。中国で行っている実際の消費者らによる実験は、必要であれば、その後に行う考えのようです。

 

(出所)日本銀行を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表]日銀の実証実験の主な流れ (出所)日本銀行を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

この実証実験と並行して、(最も大切な)制度設計を進めると報告書は述べています。CBDCの発行には様々な選択があり、制度設計は様々な選択に指針を示すことでもあります。例えば現金(お札や硬貨)と共存するのか、それとも廃止するのかという選択です。この点、日銀は明確に現金は需要がある限り維持する考えを述べています。これはCBDCを準備する他の国でもほぼコンセンサスのようです。

 

次に、CBDCの発行形態の選択には「直接型」と「間接型(二層構造)」があります。間接型は日銀が、市中の銀行にCBDCを発行し、われわれは銀行からCBDCを受け取るイメージで、現在のお金を受け取るまでのような流れです。一方、直接型は各個人が中央銀行に口座を持ち、CBDCを中央銀行から直接受け取る方式です。

 

報告書では日銀は間接型を支持しています。他の主要国も間接型を選択する模様です。直接型では、中央銀行に個人情報を渡す必要があると見られ、使用する側にはプライバシーの問題があり、受け取る中央銀行も膨大な個人情報の管理という問題に直面するからです。

 

制度設計ではオフライン決済方式が選択される可能性があります。オフライン決済を手短に言えば、ネットがつながっていなくても決済できる方式です。中国の消費者の実験で、スマホを決済したい相手のスマホと接触させるだけで決済が行える映像が報道されていましたが、近距離無線通信を使うことで可能となったオフライン決済の例と見られます。

 

ネットの圏外でもCBDCが使われることを想定して日銀はオフライン決済方式を選択する可能性があると報告書に記しています。この方式の選択は国や地域により違いもあります。中国はオフライン決済方式に前向きと見られますが、欧州中央銀行(ECB)などの姿勢は明確ではなく、今後の展開次第と思われます。

 

貨幣は古くは貝殻など、その後金属や紙幣が使われ、今後はデジタルが加わるかもしれません。コロナで散々な2020年でしたが、デジタル通貨を新たな動きとして、今日のテーマに希望と共に選びました。本年のご愛読ありがとうございました。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新たな動きが注目される中央銀行デジタル通貨』を参照)。

 

(2020年12月23日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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