荷物も持たずに出て行った。後日、見たものは…
これから先、夫は家には戻らなかった。荷物も持たずに出て行ったが、後から着替えなどは取りに来たらしい。夫のタンスからは洋服や下着が消えていたのを見つけた。
子供たちは、この一夜の夫の家出のことは何も知らずにスヤスヤ寝息をたてていた。どんな夢を見ているのかな? 楽しい夢だといいなと思った。
私は人間不信になりそうだった。夫の言動は全く理解不可能なのだ。どんなに流暢な言い訳をされても納得は行かない。あまりにも自己中心的で身勝手である。この先、どうするかが問題だ。私は考えをめぐらせた。答えはすぐには出なかったが、子供たちを立派に育てるという信念は貫き通すぶれない軸があった。
大丈夫。そこさえ見失わなければ生きて行ける。この時、根拠のない自信が私を勇気づけた。
私は母親。夫が家を出て行っても胸を張って堂々と生きて行こうと決心した。
ちょっと嬉しかったのは、舅は私の味方をしてくれた事である。血圧を上げてしまったのは申し訳ないと謝っておきたい。
【続く…】
本記事は幻冬舎ゴールドライフオンライン掲載の『プリン騒動』を再編集したものです。