安定したリターンを得ながらリスク分散ができる「私募リート」。今回は前回に引き続き、少額の自己資金でも借入金により利益を大きく増やせる「レバレッジ」の効果について見ていきます。

自己資金だけで運用した場合と比較すると・・・

もっとも、レバレッジ効果は常にプラスに働くとは限りません。投資利回りが低下した場合や、借入金の金利が上昇した場合には、レバレッジ効果が逆にマイナスに働くこともあります。

 

たとえば、価格が2億円で投資利回りが6%のマンションを自己資金1億円と借入金1億円(金利は4%)で購入の場合、以下の①、②の場合、収益に対してどのような影響がもたらされるのかを検証してみましょう。

 

①借入金の金利は4%のままだが、投資利回りが6%から3%に低下した場合

②投資利回りは6%のままだが、借入金の金利が3%から7%に上昇した場合

 

まず、①の場合には、マンションから得られる収益は年間で600万円になります。

 

収益を求める計算式】600万円=2億円×3%

 

一方、借入金の金利は400万円です。

 

(借入金の金利を求める計算式)400万円=1億円×4%

この400万円を差し引くと、最終的な収益は200万円になります。

 

次に、⑵の場合には、マンションから得られる収益は年間で1200万円になります。

 

(収益を求める計算式)1200万円=2億円×6%

 

一方、借入金の金利は700万円です。

 

(借入金の金利を求める計算式)700万円=1億円×7%

この700万円を差し引くと、最終的な収益は500万円になります。

 

借入金を使わず自己資金だけで運用していた場合(先の①の場合)には600万円の収益を得られるわけですから、⑴、⑵のいずれの場合もそれより低い収益しか得られなかったことになります。

本連載は、2016年1月25日刊行の書籍『世界一わかりやすい私募REITの教科書』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

世界一わかりやすい私募REITの教科書

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初村 美宏

幻冬舎メディアコンサルティング

取引所に上場せず、オープンエンドで運用される不動産投資ファンド「私募REIT」。 1990年代にアメリカで人気となり日本でも2001年から発売が開始、不動産投資市場でも急成長を遂げている人気の投資商品である。主な投資者は機…

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