和歌山県にある動物のテーマパーク、「アドベンチャーワールド」。立地の良さや利便性で劣りつつも、世界最大の旅行口コミサイトで「日本一の動物園」に選ばれるなど、国際的に高い評価を受けています。しかし開園当初からずっと順風満帆だったわけではありません。なぜ高評価を得るまでに至ったのでしょうか? 理由の一つとして、同施設の運営会社アワーズの社長は「社員がいきいきと働いていること」を挙げています。その素地となったのは「理念経営」の導入でした。日本一となった背景を大公開。※本連載は、山本雅史氏の著書『笑顔あふれるテーマパークの秘密』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

自らが「動く理念」になる…理念を共有する仕組み

企業理念が決まれば、次にすべきことは社内に浸透させることです。ただ、それにあたって私が大事にしたのは「強制はしない」ということでした。

 

人は無理に押し付けられると反発します。あからさまに態度には出さないものの、適当にやり過ごしてしまうことにもなりがちです。それはかつての私が経験したことでもありました。

 

「理念経営を始めます。全員、従ってください」

 

これではダメなのです。

 

「理念経営を始めます。理念は『こころでときを創るSmileカンパニー』です。まずは私から実践します」

 

まずは理念を共有すること、共有する仕組みをつくること。そして自ら「動く理念」になることが必要だと考えました。その私の姿勢に共感してくれる社員が一人でも二人でも増えていってくれれば、それで良いと考えたのです。

理念を浸透させるには「共感」が必要

当時、社員たちの反応は「また何か始めたようだぞ…」というものでした。遠巻きに様子をうかがっている人もいたと思います。私は彼らに理念経営に関する話をし、強制することはないと明言しました。ただし強制はしないものの、一つだけお願いをしました。

 

それは「5年後10年後のことを考える時間をつくってください」ということです。自分が所属するセクションの将来あるべき姿を考えてみてほしいと頼んだのです。それは「ビジョンミーティング」というかたちで、研修的な位置づけとして実行してもらうことにしました。これが共有する仕組みであり、共感していただく機会です。

 

もともとアドベンチャーワールドで働く社員には「動物が好き」「テーマパークが好き」という人が多く、その根底には「人に喜んでもらうことがうれしい」という心を持っています。ただ、これまではその方向性が整理されていなかったため、統一感のない状態が生まれてしまっていたわけです。

 

理念経営は、もともと大切にしていたことをこれからも大切にしていく。そして、それを明文化し再定義することで、一つの方向性を明確にするだけのことでした。大きなベクトルを示し、その枠内で個々ができることを考え実践する環境をつくる。まずはそれが必要だと考えたのです。

 

理念経営への共感が社員たちの中で生まれたら、もともとのポテンシャルが高いので、大きなうねりになると私は信じていました。そのきっかけづくりとしてビジョンミーティングを行ってもらったのです。

 

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