遺言書で「相続放棄の強制」はできない
遺言書に書けばなんでも実現すると考える人もいますが、実際は相続人の相続放棄の強制をはじめ、できないことがあります。
「相続放棄」とは、相続人が遺産の相続を放棄すること。相続人が遺産を引き継ぐことを拒絶する、つまり「遺産はいりません」と言うことをさします。
相続人は、家などのプラスの財産だけでなく、借金などもすべて引き継ぎます。一般的に、親が多額の借金を抱えていると、子が相続放棄をする場合が多くあります。
「渡したくない人の名前」を書かなければ解決
遺言書の問題点は、雄一さんが友里さんに「相続を放棄してもらいます」と書いた点です。雄一さんは長男の憲也さんと長女の尚美さんだけに遺産を分けたい、友里さんには渡したくありませんでした。そのようなときは、遺言書にみどりさんと憲也さん、尚美さんの相続分だけ記載して、友里さんの分を書かなければよいのです(図表3)。
他にも残念なポイントが…6つの問題点
図表2の遺言書では、ほかにも次の問題があります。
①お金という表現
②家という表現
③全財産を網羅していない
④残った家族で
⑤話し合って分ける
⑥日付が「吉日」
それぞれ見ていきましょう。
①お金という表現
「お金」と書くと、財布やタンスにしまってある現金を指します。預金を渡したいなら、「預金」という表現にし、銀行名や口座番号などを明らかにします(別紙で通帳のコピーを添付しても可)。「お金」と書かれた遺言書を持って、預金を払い戻そうとしても、銀行からはほかの相続人の同意書を求められることもあります。
②家という表現
家は通常、建物のみを指します。実際は土地も含まれる遺言なので、「家と土地」という表現が正解です。また、こちらも詳細を別紙(全部事項証明書)のコピーも可で添付することも可能です。
③全財産を網羅していない
雄一さんの財産には、預金、不動産のほか、株式があります。遺言書で触れているのは預金と不動産のみなので、株式はどのようにして分けたらいいかわかりません。その後、分け方をめぐってもめる可能性があります。財産は全部網羅して書きましょう。
④残った家族で
前後の関係から、友里さん以外の家族というニュアンスは伝わりますが、友里さんは亡くなったわけではないので、この表現は正確ではありません。財産を渡したい人については、「長女尚美(生年月日)」といった具体的な形で書きましょう。
⑤話し合って分ける
「話し合って分ける」とすると、分け方をめぐりもめごとに発展する可能性があります。具体的に「誰に」「何を」相続させるのか書きましょう。
⑥日付が「吉日」
日付が「吉日」だと、何日か正確にわかりません。日付は正確に、年月日を書きましょう。遺言が無効になる可能性があります。
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