「父が亡くなったら、遺産は借金のカタになる…?」
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【事例】
加藤友里(仮名)はアイドルグループの追っかけがきっかけで、たくさんの消費者金融に借金をした。借金は膨らみ返せなくなり、ついに行方をくらました。
友里の姉、尚美(仮名)はそんな妹の尻拭いをずっとしてきた。母、みどり(仮名)は「お父さんが甘やかしたから…」と嘆くばかり。
末っ子の憲也(仮名)は法学部の大学三年生だ。憲也には心配ごとがあった。それは、父雄一(仮名)にもしものことがあった場合、財産は残された家族で分けることになる。たとえ所在が分からなくても、友里には財産をもらう権利がある。
「母さん、相談があるんだ。父さんが死んだら、うちの財産は借金のカタにとられてしまうのではないだろうか。父さんが遺言書を書けば、財産を守れると思うんだ」
そこで、母みどりは雄一に遺言書を書くようにすすめ、念のため憲也に見せた。
「残念だけど…。この遺言書には問題が…」
憲也が指摘した問題とは?
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「遺言書の作成」自体は大正解だが…「ひと言」が問題
家族の誰かが借金を抱え、行方をくらました! そんなとき、遺言書があれば遺産分割ができます(なければ、行方不明の友里を捜し出さなければなりません)。遺言により、父雄一さんの遺産をみどりさんと尚美さん、憲也さんの三人で相続するようにしておけばよいのです。友里さんが出てきて、財産を求められること(遺留分侵害額請求)がなければ、遺言書に書かれたとおりの遺産分割ができます。
読者の中には、たとえ遺言書があっても債権者が友里さんの遺留分(以前の記事『父急逝で自宅売却危機…「前妻の子」の相続分を拒否するには』で詳説。関連記事参照)を渡すよう求めるのではないかと思う方もいるかもしれませんが、実際は大丈夫です。というのは、友里さんが遺留分を請求する権利は、友里さんだけに与えられた権利(一身専属権)なので、取り立ての人が友里さんに代わって、行使すること(代位行使)はできないと考えられています。
父雄一さんが遺言書を書いたのは正解です。ただ、問題は「友里には相続放棄してもらう」と書いた点にあります。相続放棄は本人がするものです。
実際、相続を放棄するには家庭裁判所に放棄の申し出が必要になります。友里さんが行方不明の状態では申し出はできません。たとえ、帰ってきたとしても、本人が「放棄しない」と申し出を断ったら、相続の放棄にはなりません。遺言書には、相続分を明確にして書くべきでした。
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