「アイドル追っかけで借金まみれ」姉失踪…末っ子長男、キレた

相続トラブルを回避する有効策、「遺言書」。ここで紹介する加藤家(仮名)は、相続人のひとりが行方不明のうえ、多額の借金まで抱えています。「このまま相続が発生すると、遺産は借金のカタにとられてしまうのではないか?」相続に対する不安は増すばかり。※本連載は、楠部亮太弁護士、中川紗希弁護士、平田久美子税理士ら監修の『失敗しない遺言とお墓のはなし』(税務研究会出版局)より、一部を抜粋・再編集したものです。登場するすべての事例・住所や氏名などはいずれも架空のものであり、実在の人物等とは関係ありません。

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「父が亡くなったら、遺産は借金のカタになる…?」

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【事例】

加藤友里(仮名)はアイドルグループの追っかけがきっかけで、たくさんの消費者金融に借金をした。借金は膨らみ返せなくなり、ついに行方をくらました。

 

友里の姉、尚美(仮名)はそんな妹の尻拭いをずっとしてきた。母、みどり(仮名)は「お父さんが甘やかしたから…」と嘆くばかり。

 

末っ子の憲也(仮名)は法学部の大学三年生だ。憲也には心配ごとがあった。それは、父雄一(仮名)にもしものことがあった場合、財産は残された家族で分けることになる。たとえ所在が分からなくても、友里には財産をもらう権利がある。

 

「母さん、相談があるんだ。父さんが死んだら、うちの財産は借金のカタにとられてしまうのではないだろうか。父さんが遺言書を書けば、財産を守れると思うんだ」

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

そこで、母みどりは雄一に遺言書を書くようにすすめ、念のため憲也に見せた。

 

「残念だけど…。この遺言書には問題が…」

 

憲也が指摘した問題とは?

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※氏名等はすべて架空のものです。 イラスト:新岡麻美子
[図表1]加藤家の相関図 ※氏名等はすべて架空のものです。
イラスト:新岡麻美子

 

残念な箇所は【黄色】の部分
[図表2]父・雄一の「残念な遺言書」問題点は各所にあるが、主に【黄色】の部分が残念。解説は後述

「遺言書の作成」自体は大正解だが…「ひと言」が問題

家族の誰かが借金を抱え、行方をくらました! そんなとき、遺言書があれば遺産分割ができます(なければ、行方不明の友里を捜し出さなければなりません)。遺言により、父雄一さんの遺産をみどりさんと尚美さん、憲也さんの三人で相続するようにしておけばよいのです。友里さんが出てきて、財産を求められること(遺留分侵害額請求)がなければ、遺言書に書かれたとおりの遺産分割ができます。

 

読者の中には、たとえ遺言書があっても債権者が友里さんの遺留分(以前の記事『父急逝で自宅売却危機…「前妻の子」の相続分を拒否するには』で詳説。関連記事参照)を渡すよう求めるのではないかと思う方もいるかもしれませんが、実際は大丈夫です。というのは、友里さんが遺留分を請求する権利は、友里さんだけに与えられた権利(一身専属権)なので、取り立ての人が友里さんに代わって、行使すること(代位行使)はできないと考えられています。

 

父雄一さんが遺言書を書いたのは正解です。ただ、問題は「友里には相続放棄してもらう」と書いた点にあります。相続放棄は本人がするものです。

 

実際、相続を放棄するには家庭裁判所に放棄の申し出が必要になります。友里さんが行方不明の状態では申し出はできません。たとえ、帰ってきたとしても、本人が「放棄しない」と申し出を断ったら、相続の放棄にはなりません。遺言書には、相続分を明確にして書くべきでした。

 

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楠部法律事務所 代表弁護士

不動産、事業の承継等、遺言・相続に関する様々な法律相談を手掛ける。

著者紹介

abri(アブリ)新宿総合法律事務所 代表 弁護士

東京弁護士会 遺言・相続部会所属。遺言・相続の相談やトラブル対応まで幅広く対応している。

著者紹介

平田久美子税理士事務所 代表 税理士

相続税の申告・相続に数多くの実績がある。相続関連の著書も多数執筆。CFP1級FP

著者紹介

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監修:楠部 亮太(弁護士)

監修:中川 紗希(弁護士)

監修:平田 久美子(税理士)

取材協力:畠中 雅子(ファイナンシャルプランナー)

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