和歌山県にある動物のテーマパーク、「アドベンチャーワールド」は、世界最大の旅行口コミサイトで「日本一の動物園」に選ばれるなど、国際的に高い評価を受けています。祖父、父に続いてアドベンチャーワールドの運営会社社長となった著者は、同園が高評価を得る理由の一つに「社員がいきいきと働いていること」を挙げています。その素地となったのが「理念経営」の導入。「社員一人ひとりが自ら考えて行動できるマネジメント」を実践するには、どうすればいいのでしょうか? アドベンチャーワールドが変化するきっかけとなった「転機」を、リアルなエピソードとともに紹介。※本連載は、山本雅史氏の著書『笑顔あふれるテーマパークの秘密』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

「マニュアルでは生み出せない価値」が顧客を魅了

岩田氏の言う「スターバックス・エクスペリエンス」とは、コーヒーを買いに行ったスターバックスで実際に顧客が遭遇する「体験」のことです。より具体的に言えば、マニュアル対応とは思えない、店員の心のこもった接客のことです。

 

例えば、ふいにコーヒーをこぼしたときに、嫌な顔一つせずに対応してくれたこと、顔を覚えてくれていて気さくに話しかけてくれたこと、コーヒーカップに心が和むちょっとしたいたずら書きを足してくれること…。

 

こう書いてしまえば、その一つひとつは大したことがないと思うかもしれませんが、組織経営としてこれは、本当に奇跡のような話です。なぜならこうしたスタッフの対応は、どれもマニュアルから生まれたものではないからです。

 

しかし、こういったマニュアルを超えた先にあるスタッフの「気の利いた対応」にこそ、スターバックスでしか体験できない価値(=スターバックス・エクスペリエンス)があり、それが顧客を魅了していると岩田氏は話されていました。しかも、驚くことにそれは社員だけではなく、アルバイトにまで浸透しているのだと言うのです。

 

――スターバックスが提供しているのは、コーヒーではなく、その場所ならではの「体験」である。

 

この言葉を聞いたとき、私は「これだ!」と深い感銘を受けたのです。アドベンチャーワールドは単なる動物園でも遊園地でもいけない。アドベンチャーワールドでしか体験できないものを、提供する必要がある。そしてそれを創るのは社長の私ではなく、アドベンチャーワールドで働く社員一人ひとりなのだ。

各社員の自発性を促すマネジメントのカギは「理念」

では「社員一人ひとりが自ら考えて行動できるマネジメント」を実際に現場に落とし込んでいくにはどうすればいいのか――?

 

岩田氏は、著書『ミッション』の中で「社員が一人ひとり自ら考えて行動するために必要なことは二つある」と言っています。その二つとは「ミッション」と「権限委譲(エンパワメント)」。岩田氏の言う「ミッション」とは、分かりやすく言えば「企業理念」のことです。「権限委譲」とは、「ミッション(企業理念)」を共有したうえで、社員一人ひとりが自ら考えて、業務上の判断をする範囲を増やすことを指しています。

 

そんな折、私の尊敬する先輩経営者から「理念経営」に関する研修プログラムがあるので一緒に行かないか?との誘いを受けました。当時まだ経営改善に手探り状態だった私は、自分の求めているものが学べるかもしれないという思いから、その研修に参加することを決めたのです。

 

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★だれもがキラボシ★ 〜笑顔あふれるテーマパークの秘密〜

★だれもがキラボシ★ 〜笑顔あふれるテーマパークの秘密〜

山本 雅史

幻冬舎メディアコンサルティング

日本の動物園ランキング2018で第1位を獲得。和歌山県のテーマパーク「アドベンチャーワールド」が選ばれたワケとは? アドベンチャーワールドは動物園、水族館、遊園地を併せ持つ、全国でも類を見ないテーマパークで、累計…

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