投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

>>>12/10(火)LIVE配信

 

11月9日は歴史的な一日となった。この日のRussell1000グロース株指数の騰落率からRussell1000バリュー株指数の騰落率を差し引いた騰落率差は-5.96%となり、10σ(シグマ、1シグマは1標準偏差を意味する)に迫る強烈なボラティリティ(変動性)を示した。過去にあまり例を見ない極端なボラティリティの上昇は、GAFAM相場への警鐘かもしれない。

グロース株からバリュー株への大転換

Russell1000グロース株指数とRussell1000バリュー株指数の日次騰落率差の平均は0.01%、標準偏差は0.62%になる(期間は1990年1月2日~2020年11月19日)。つまり、これらの指数の日次騰落率差は、平時であればほとんど無視できるほど小さいことを意味するわけだが、11月9日の騰落率差は-5.96%と極端な騰落率差となった(図表1)。これを標準偏差に換算すると9.6σのイベントになる。

 

日次、配当含まず、米ドル建て、期間:1991年1月2日~2020年11月19日 出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]Russell1000グロース株指数とRussell1000バリュー株指数の日次騰落率差 日次、配当含まず、米ドル建て、期間:1991年1月2日~2020年11月19日
出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

この事象から示唆されることは、GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトの頭文字)に代表されるグロース株への「過度な集中投資」だ。GAFAMのようなグロース株はコロナ禍で競争上優位とみなされ、これまで株価パフォーマンスも堅調に推移してきた(図表2、3)。しかし、米製薬大手のファイザーが9日、新型コロナワクチンの治験データで90%を超える有効性があったことを発表したことを受け、マーケットでは来年以降の経済活動が「正常化」へ向かうことが強く意識された。そのため、(景気回復局面で恩恵を受けやすい)景気敏感株が多く含まれるバリュー株への大転換が起こったと考えられる。

 

(1991年1月2日=100) 日次、配当含まず、米ドル建て、期間:1991年1月2日~2020年11月19日 出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]Russell1000グロース株指数とRussell1000バリュー株指数 (1991年1月2日=100)
日次、配当含まず、米ドル建て、期間:1991年1月2日~2020年11月19日
出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

(2017年10月末=100) 日次、配当込み、米ドル建て、期間:2017年10月末~2020年11月19日 ※NYSE FANG+指数はAlphabet(Google)、Baidu、Apple、NVIDIA、Tesla、Twitter、Facebook、Amazon、Netflix、Alibabaの株式で構成 出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
図表3:NYSE FANG+指数とMSCI世界株指数 (2017年10月末=100)
日次、配当込み、米ドル建て、期間:2017年10月末~2020年11月19日
※NYSE FANG+指数はAlphabet(Google)、Baidu、Apple、NVIDIA、Tesla、Twitter、Facebook、Amazon、Netflix、Alibabaの株式で構成
出所:Bloombergのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

重要なのは分散投資で「備える」こと

足元では世界的に新型コロナウイルスの新規感染者が拡大傾向にあり、欧州では都市封鎖といった強い措置が講じられている。米国でも日を追うごとに(州レベルでの)新型コロナ対策が強化される方向にあり、景気の下振れ圧力が高まりやすい状況にある。このため、グロース株が再び物色される可能性は否定できないわけだが、遅かれ早かれ新型コロナワクチンは供給される。そうなれば、マーケットは経済活動の「正常化」を見越して、先んじて景気敏感株に注目することが想定されるので、長期目線での運用が重要だ。

 

GAFAMに代表されるグロース株から、景気敏感株が多く含まれるバリュー株への転換の「タイミング」を正確に予測することが困難である以上、従前通り景気敏感株への分散投資を図り、この転換の可能性に「備える」ことが必要になる。「10σの衝撃」から学ぶことは多い。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『10σ(シグマ)の衝撃 GAFAM相場への警鐘か?』を参照)。

 

(2020年11月20日)

 

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?

 

【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは

 

【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討

 

【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成

 

【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える

 

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録