いつの時代もなくならない相続トラブル。特に、故人の財産に不動産が含まれる場合、納税の際に大きな問題が発生してしまいます。そこで本記事では、『円満相続をかなえる本』(幻冬舎MC)より、具体的な事例と解決策を紹介します。

「相続分が少なすぎる!」不動産相続の厄介

◆建物を新築できない土地の遺産分割

 

70代の男性Kさんは、前年に不動産を相続しました。相続人はKさんと弟のLさんの2人で、相続財産のうち、不動産はKさんに、その他の預貯金はLさんに相続するとの遺言があったため、いったんはそのようにしたのです。

 

ところが、Kさんが相続した不動産の価格と、Lさんが相続した預貯金を比べた場合、遺留分(本件では相続人が、被相続人の子のみ2人なので、1人あたりの割合は総相続財産の4分の1)に照らして、Lさんの相続分が少なすぎるとして、Lさんから不足分の現金を支払うよう求める旨の請求がありました(遺留分減殺請侵害額請求)。

 

このとき、Lさんが主張するにあたり根拠とした不動産価格は、税理士が相続税法上の計算方式に従って算出した評価額でした。

 

相続税法上の評価方式は、一定の数式に数字を当てはめていく機械的な方式であり、ある程度、画一的な評価が可能で、そのため納税者の公平性を担保することが可能な方式となっています。

 

しかし、その一方で、個別性が非常に強い土地については、その評価方式に限界が生じ、土地の価値を適正に評価しきれない場合があります。本件がまさしくそのケースでした。

 

Kさんは、この土地は新しく建物を建てることができない土地だと以前に聞いており、Lさんが主張する額ほどの価値は、この土地にはないと考え、適正な価格を鑑定評価してほしいとご依頼くださったのです。

 

Kさんのご依頼を受けて調査を進めてみると、果たして建物を建築するためには建築基準法で認められた道路に2メートル以上接していなければならないところ、対象土地は90センチ(0.9メートル)ほどしか接していないことが判明。建物を新たに建築することができない土地であり、その状態を改善することは非常に難しい状態にありました。

次ページ弟の主張を調べていたら意外な事実が判明。結果は…?

本記事は、2017年9月22日刊行の書籍『円満相続をかなえる本』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

円満相続をかなえる本

円満相続をかなえる本

石川 宗徳,森田 努,島根 猛,佐藤 良久,近藤 俊之,幾島 光子

幻冬舎メディアコンサルティング

「対策が難しい相続」に悩む人に向けてプロフェッショナルが事例とともに分かりやすく解説。大切な資産と人間関係の守り方教えます! 「相続登記と遺言を行なうメリットってなんだろう?」「相続した不動産、売るべき?売ら…

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